「作者不明」の絵画を追って。映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』が2月に公開

オークションに出品された作者不明のとある絵画。この作品を巡って老画商とその孫が秘密を紐解いていく映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』が、 2020年2月28日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開される。

 

『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』より (C) Mamocita 2018 lastdeal-movie.com

 もし自分が作者不明の絵画の発見者だとしたらどうするかーー。そんな問いを投げかけるような映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』が、 2020年2月28日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開される。 

 本作は、仕事一筋で美術業界に身を置いてきた老美術商・オラヴィが主人公。あるオークションハウスで出品される一枚の肖像画に目を奪われたオラヴィは、その絵が価値ある作品だと確信する。しかしその絵には署名がなく、作者は不明だった。

 職業体験にやってきた問題児の孫息子・オットーとともに作者を探し始めたオラヴィは、その画風から近代ロシア美術の巨匠イリヤ・レーピンの作品だとする証拠を掴む。真作だとすれば世間を揺るがす発見。しかし、ふたりの前には一筋縄ではいかない様々な事情が立ちはだかる。

『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』より (C) Mamocita 2018 lastdeal-movie.com 

 本作は、アートを題材にしながら、デジタルとアナログの格差や、個人商店と巨大なオークションハウスの圧倒的な社会的地位の差など、現代の社会が抱える構造的な課題も見て取ることができる。

 また、レーピン作とされる絵画をめぐる攻防は、美術業界のある種冷酷な側面をも露呈させている。マーケットの存在が大きくなるいっぽうの現代において、作品の価値とは何かを考えるひとつのきっかけとなるだろう。

『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』より (C) Mamocita 2018 lastdeal-movie.com 

編集部

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