文化庁長官の古巣・東京藝大からも反対の声。教員有志が抗議文

文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」への補助金を不交付とした問題で、文化庁長官の古巣である東京藝術大学の教員からも抗議の声が挙がった。

 

東京藝術大学で行われたデモの様子(9月27日)

 文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」への補助金を不交付として問題で、文化庁長官・宮田亮平の母校であり、約10年間学長を務めた東京藝術大学からも抗議の声が挙がった。

 同大には美術学部と音楽学部があるが、抗議文は両学部を超えた教員有志によるもの。よびかけ人としては、荒木夏実(美術学部先端芸術表現科)、小沢剛(美術学部先端芸術表現科)、住友文彦(大学院国際芸術創造研究科)、福中冬子(音楽学部楽理科)、毛利嘉孝(大学院国際芸術創造研究科)が名を連ねており、賛同者の氏名は順次公開するという。

 抗議文では、補助金不交付は「文化芸術推進基本計画」の柱として「文化芸術の『多様な価値』を生かして、未来をつくる」旨を掲げている文化庁の理念に「大きく反するものである」と批判。

 「補助金交付の取り消しは、国内のみならず、『あいちトリエンナーレ2019』の行く末を注視していた海外のアーティストや芸術関係者、諸機関にとって、政府機関が特定の芸術表現の排除を意図したものと映り得るだろう」と、海外への悪影響を懸念するとともに、「芸術・文化における多様な価値を尊重し、自由な表現を希求する東京藝術大学の教員として、表現の萎縮につながりかねない今回の文化庁の決定に断固として反対する」としている。

 なお文化庁に対しては、美術評論家連盟や日本現代美術商協会などの機関をはじめ、「文化庁アートプラットフォーム事業」メンバーからも撤回を求める声明が出ている。

(10月4日更新)
10月3日現在の賛同者は以下の通り。
荒木夏実(美術学部先端芸術表現科)
磯見俊裕(大学院映像研究科映画専攻)
大竹利絵子(美術学部彫刻科)
大巻伸嗣(美術学部彫刻科)
大森晋輔(音楽学部言語芸術講座)
岡本美津子(大学院映像研究科アニメーション専攻)
小沢剛(美術学部先端芸術表現科)
小畑善昭(音楽学部器楽科)
片山まび(美術学部芸術学科)
桂英史(大学院映像研究科メディア映像専攻)
亀川徹(音楽学部音楽環境創造科)
楠田健太(音楽学部・演奏芸術センター)
熊倉純子(大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻)
櫻田亮(音楽学部声楽科)
佐藤時啓(美術学部先端芸術表現科)
佐藤直樹(美術学部芸術学科)
スプツニ子!(美術学部デザイン科)
住友文彦(大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻)
諏訪敦彦(大学院映像研究科映画専攻)
薗部秀徳(美術学部工芸科)
高山明(大学院映像研究科メディア映像専攻)
田中一成(大学院映像研究科映画専攻)
玉井菜採(音楽学部器楽科)
土田英三郎(音楽学部楽理科)
筒井武文(大学院映像研究科映画専攻)
長嶌寛幸(大学院映像研究科映画専攻)
長島確(音楽学部音楽環境創造科)
中山英之(美術学部建築科)
橋本和幸(美術学部デザイン科)
畠山直哉(大学院映像研究科メディア映像専攻)
八谷和彦(美術学部先端芸術表現科)
針貝真理子(音楽学部言語芸術講座)
廣江理枝(音楽学部器楽科)
福中冬子(音楽学部楽理科)
藤崎圭一郎(美術学部デザイン科)
藤原信幸(美術学部工芸科)
古川聖(美術学部先端芸術表現科)
布山タルト(大学院映像研究科アニメーション専攻)
毛利悠子(大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻)
毛利嘉孝(大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻)
山城知佳子(美術学部先端芸術表現科)
李美那(大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻)

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