日本文化政策学会(会長:熊倉純子)は9日、「あいちトリエンナーレ2019」において「表現の不自由展・その後」が展示中止となった件に対し、声明文を発表した。
副題に「表現の自由/芸術の自由への抑圧から、民主主義のさらなる発展・成熟へ」と掲げた声明では、「芸術文化政策を推進する上で、政治的介入によって事業のあり方が変更されることは望ましくありません」としながら、「事業の内容と質に関する判断は芸術文化専門職に託されるべき」と主張。その上で、以下の3点を意見表明している。
1. 表現を暴力により抑圧することは断固として許されず、業務妨害やテロ未遂といった脅迫・威嚇行為に対する適切な捜査と処罰を望むこと、2. 自治体首長や議員、政府高官が展示内容に介入する発言は看過できず、表現の持つ政治的立場を問わず、表現活動の多様性と自律性の保 障が求められること、3. 展示中止は主催者による自己検閲・自主規制にあたり、中止された理由となる管理運営上の支障を取り除き、安全を担保したうえで、展示の再開に向けた道筋を考慮していくこと
なお、同学会では菅義偉官房長官があいちトリエンナーレへの補助金について言及したことを受け、「今後、公的助成を受ける芸術祭や国公立美術館、文化施設などの現場、ひいては広く言論の現場がさらに萎縮し、多様な政治的・社会的立場からの表現や芸術の自由が一層の制約を受けることを強く危惧します」とも記している。
声明文全文はこちらから閲覧可能となっている。