世界を代表する大規模美術館のひとつ、ロンドン・ナショナル・ギャラリー。その世界初となるイギリス国外での展覧会「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」が、2020年に東京・上野の国立西洋美術館と大阪・中之島の国立国際美術館で開催される。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、王室の収集を母体とした多くのヨーロッパの美術館とは異なり、1824年に国家制定法により設立された美術館。レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロ、ティツィアーノ、 ルーベンス、ベラスケス、ターナー、モネ、セザンヌ、ゴッホなど、13世紀から20世紀初頭までのヨーロッパ絵画の様々な画派を網羅した約2300点の作品を所蔵しており、年間の来場者数は500万人超を誇る。同館は、所蔵作品の多くを常設展示しており、その作品貸出に関しては極めて厳しく、これまで館外で所蔵作品展が開催されることは一度もなかった。
世界初のイギリス国外におけるコレクション展となる本展では、同館所蔵のイタリア・ルネサンスから20世紀までの幅広い時代とジャンルに及ぶ西洋絵画約60点を一堂に公開。イギリスとヨーロッパ大陸の美術における相互関係、イギリスにおける大陸の美術の収集という観点に基づき、イギリスで築かれた汎ヨーロッパ的なコレクションとしての同館の特質に光を当てる内容が予定されているという。
なかでも大きな注目を集めるのは、ゴッホの代表作として世界中で知られている《ひまわり》だ。ゴッホは、1888年から89年にかけて、南フランスのアルルで花瓶に生けたひまわりの絵を7点制作。 今回初来日するのは、そのうちの4点目にあたり、共同生活を送る予定だったゴーギャンの寝室を飾る目的で描かれたもの。
多様なトーンと筆致で描き分けられた黄色の調和が際立つ作品で、東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館所蔵の《ひまわり》は本作を元に制作されている。
本展開催について、ロンドン・ナショナル・ギャラリーのガブリエル・フィナルディ館長 は「前例のないこの展覧会を通じて、これまでロンドン・ナショナル・ ギャラリーになじみがなかった方々にも当館の作品のすばらしさや専門性の高さを感じていただき、また若い世代の方々の心に、偉大な絵画に接する感動を呼び起こすことができればと考えています」とコメントしている。