文化庁、宮内庁、読売新聞社が共同で進める「紡ぐプロジェクト」とは、皇室ゆかりの優品や国宝・重要文化財を国内外へと広く伝えるというもの。
特別展覧会の開催に加え、フォーラムなど関連事業や文化財修理事業をプロジェクトの柱として実施し、文化財・美術品の公開を通じて得た収益の一部を修理に充てることで、文化財・美術品の「保存、公開、修理」というサイクルが永続する仕組みを目指すという。
その第一弾として、東京国立博物館で2つの特別展が開催される。
2019年3月5日にスタートする「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」は、宮内庁が所管する皇室ゆかりの作品のなかから、天皇陛下御即位の儀式に際して東山魁夷、高山辰雄が1990年に制作した《悠紀・主基地方風俗歌屏風》や、天皇皇后両陛下が外国訪問の際に紹介した岩佐又兵衛筆《小栗判官絵巻》などを展示する。
これに続くのは、5月3日から開催の「美を紡ぐ 日本美術の名品―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」だ。本展では、狩野永徳筆で皇室ゆかりの名品である《唐獅子図屏風》と、永徳最晩年の作品で国宝の《檜図屏風》を会期前半・後半に分けてそれぞれ公開。これに加え、東京国立博物館、宮内庁三の丸尚蔵館、文化庁が所蔵する雪舟、尾形光琳、葛飾北斎らによる日本美術の名品が集結する。
なお、「紡ぐプロジェクト」では宮内庁三の丸尚蔵館に収蔵される皇室ゆかりの優品や国宝・重要文化財を高精細画像でデジタルアーカイブ化。それらを閲覧可能な多言語ポータルサイトも2019年前半に本格稼働させる予定だという。