トランクからその歴史が始まったフランス・パリのルイ・ヴィトン。同メゾンが2016年より刊行しているのが、ファッション・フォトグラファーの視点で街や地域、あるいは国の魅力をとらえた写真集『ファッション・アイ』シリーズだ。
同シリーズにはこれまで、ギイ・ブルダンやジャンルー・シーフ、あるいはソール・ライターなど、国際的に活躍する写真家たちが参加。これまで公開されてこなかった作品や、アーカイブからピックアップされた写真が収録され、ルイ・ヴィトンによるエクスクルーシブな写真集として注目されてきた。
この毎年5タイトルが追加されるシリーズに、今年は日本人として初めて篠山紀信が参加し『LOUIS VUITTON FASHION EYE SILK ROAD by 篠山紀信』を刊行。その刊行を記念した展示が、ルイ・ヴィトン新宿店と六本木店の2店舗でスタートした。
女性のヌードがその代表的なモチーフとして知られる篠山だが、『LOUIS VUITTON FASHION EYE SILK ROAD by 篠山紀信』では、奈良からトルコに至るまで、篠山がシルクロードを旅して撮影した写真が収録されている。
これらの写真は篠山が80年代に撮影し、81~82年に出版された全8巻の『シルクロード』シリーズに収録されたものであり、撮影対象となっているのは各地の風景や人々の生活の様子。なかには、アフガニスタンのバーミヤン大仏やパルミラの古代都市など、暴力によって失われてしまった景色も含まれており、資料的な意味をも含む作品群となっている。
今回刊行された『LOUIS VUITTON FASHION EYE SILK ROAD by 篠山紀信』では、『シルクロード』シリーズから約140点の作品をピックアップし、一冊の書籍として編集。同書に収録されている作品のなかから、ルイ・ヴィトン新宿店では「女性」や「赤」をモチーフにした14点を、六本木店では「ブルー」をモチーフにした11点を見ることができる。
世界でもこの篠山紀信の展覧会は2ヶ所のみ。エクスクルーシブな機会を楽しみたい。