NEWS / HEADLINE - 2018.7.27

滋賀県立新生美術館計画、白紙へ。現行の「近代美術館」として再オープンの方針を固める

滋賀県内唯一の公立である、滋賀県立近代美術館。1984年8月に開館した同館は、既存の建物の改修と新棟を建設して「新生美術館」(呼称)を2020年の開館で計画してきた。しかし7月25日に行われた県議会7月定例会議にて、同計画の凍結が発表された。

「新生美術館」俯瞰パース(SANAAによる設計イメージ)

 2017年4月1日から休館中の滋賀県立近代美術館は、13年に策定された「新生美術館基本計画」のもと、建築ユニットSANAA設計による建物の改修と新棟の建設を予定し、20年3月のオープンを目指してきた。

 しかし、17年8月に建築工事の一般競争入札が行われたものの入札不落となり、20年3月の開館は難しい状態になった。県はこの事態を受けて、設計の見直しを検討。18年6月29日にその見直し案が公表され、一部の設計案を変更するなどの縮小案を提示していた。

 しかしながら、7月25日に行われた県議会7月定例会議にて、滋賀県の三日月大造知事は、同計画の実現が困難であるとして凍結する方針を打ち出した。県が本体工事費の上限額に設定した47億円の範囲内で整備を進めることが困難と判断した模様だ。

 同知事は「設計の見直し案の検討を重ねてきたが、2年後の東京オリンピック・パラリンピックをひかえて、建設単価が高止まりすることが想定される。県民や関係者へご期待に答えるかたちで新生美術館の整備を行うためには、47億円に収めることはできないと判断するにいたった。このため、入札不落以来進めてきた見直し案による新生美術館の整備はいったん立ち止まらせていただく」と述べた。

 そのうえで今後の同館のリニューアルについて「新生美術館の整備はいったん立ち止まるものの、近代美術館の老朽化や琵琶湖文化館の機能継承は喫緊の課題なので、この課題に優先して取り組むものとし、その内容についてはできるだけ早く示す」と語っている。

 県は、17年8月の建設工事の入札不調を受け、工事費を抑制するため基本計画を反映させた設計の見直しに着手。前述のように、今年6月には建物や公園の工事規模の縮小や、レストラン棟の整備に民間資金を活用する方針を打ち出したものの、47億円の範囲には収まらなかった。今後は近代美術館の老朽化対策や、滋賀県立琵琶湖文化センターから引き継ぐ作品収蔵スペースの拡大などの課題に対応するための改修を優先していくと見られる。

 これまでの「近・現代美術のコレクション」に加えて、滋賀県立琵琶湖文化館が担っていた「神と仏の美」の継承、そして全国に先駆けて滋賀県で培われてきた「アール・ブリュット」の3点を柱として、「美の滋賀」の入り口として生まれ変わることを掲げてきた同館。今後の動向にも注目したい。