2008年より、年に1回のペースで国内外のアーティストによる展覧会を企画しているフランスのヴェルサイユ宮殿。その第11回となる個展が杉本博司に決定した。
08年のジェフ・クーンズに始まり、これまでグザヴィエ・ヴェイヤン(09年)、村上隆(10年)、李禹煥(14年)、アニッシュ・ カプーア(15年)、オラファー・エリアソン(17年)など、世界を代表するアーティストたちが作品を発表してきたヴェルサイユ宮殿での個展。今年の招聘作家に選ばれた杉本博司は、かつて王族のプライベートな場所として用いられていたトリアノン離宮を会場に選び、主にプチ・トリアノンのフォリー(装飾的建築)および庭園で作品を発表するという。
ヴェルサイユ宮殿美術館館長カトリーヌ・ぺガールは今回の杉本の招聘に関し、「ヴェルサイユに杉本博司を招聘することは、この偉大なる日本人アーティストの特異性を形成する折衷主義を迎え入れることでもあります」とコメント。「ルイ14 世からナポレオン、マリー・アントワネットからオルレアン公へと受け継がれ、それぞれの時代の創作を生み出してきたトリアノン離宮が初めて使用され、杉本博司が現代的な解釈をもたらします。『ジャポニズム 2018』が開催される今年、ここヴェルサイユにて、杉本は日本とフランスの文化的関連性を明示するのです」としている。
また杉本は本展について以下のコメントを寄せている。「私のアーティストとしての活動は2次元を扱う写真から始まった。その後使いにくい美術館空間での展覧会という難行苦行を重ね、自らが望む3次元空間を創出する為に建築家となった。3次元空間ができてみると、その空間に時間の要素を加えた演劇に興味が向いていった。私のアーティストとしての一生は予定調和へと向かわずに支離滅裂へと向かっているようだ。この与えられた機会に感謝し、私自身を整理して、私の活動をどのように統合できるかを検討することにした」。
なお、本展キュレーションはアルフレッド・パックマン(ヴェルサイユ現代美術展キュレーター)とジャン・ド・ロワジー(パレ・ド・トーキョー館長)が担当する。