ロニ・ホーンは1955年ニューヨーク生まれ、ニューヨーク在住の作家。写真や立体作品、アーティストブックなど様々なジャンルで制作を続けている。
本展は、ホーンが41年の間に受け取ってきた贈り物を撮影した67点の写真で構成されている。手紙や本、手袋やブレスレット、友人の手によるドローイングや写真、恐竜の卵の化石やフォーチュンクッキーのおみくじなど、様々な贈り物は、白い背景のもとで、ほぼすべてが実物大となるように撮影されている。それらの写真は他者の視線を通した姿として、贈られた相手であるホーンのポートレイトを浮き彫りにする。そしてその一方で、送り主や、その贈り物そのものの歴史は謎のままとなっている。
意味やアイデンティティの不確かさはホーンの制作において繰り返し現れるテーマである。本作でも、贈り主と受取人との間の予期せぬ協働によりつくり出された「代理的なポートレイト」がその問題を問いかける。