中平卓馬(1938-2015)は、1960年代より活躍した戦後日本を代表する写真家のひとり。制作と批評を両輪とする活動を展開し、森山大道らとともに刊行した写真同人誌『プロヴォーク』(1968-69)や、それまでの自作を批判的に検証した映像論集『なぜ、植物図鑑か』(1973)などにより、日本の現代写真に大きな影響を与えた。
77年に中平は病により記憶の多くを失うが、沖縄での撮影をきっかけに復帰を果たし、晩年まで先鋭的な作品を発表し続けた。本作『沖縄』は、最晩年の4回にわたる沖縄での撮影をもとに構成されており、中平本人が携わった最後の新作写真集となる。
中平の後期のスタイルを確立する契機となった土地・沖縄で生み出された、現実を凌駕するような鮮烈な輝きを放つ写真の数々が収められている。