中谷宇吉郎(1900〜62)は、日本を代表する実験物理学者。36年には世界で初めて人工の雪の結晶を作り出し、科学の真理を自然と人間との共同作業に見出した。
宇吉郎のその姿勢は33年に次女として生まれた芙二子にも大きな影響を与えた。芙二子は、66年にニューヨークの芸術と科学の協働を理念とする実験グループ「E.A.T(Experiments in Art and Technology)」に参加するほか、日本を拠点にビデオ作品の制作、発表を行う。
芙二子の代名詞とも言える「霧の彫刻」は、70年に大阪万博ペプシ館で初めて発表され、以降世界各地で80作品を超えるインスタレーションやパフォーマンスを行っている。