中村裕太は1983年東京生まれで、現在は京都を拠点に活動する作家。アカデミックなリサーチをもとに、収集した陶片や建築図面などの一次資料を中村が制作したオブジェとともに構成し、発表してきた。近年では「あいちトリエンナーレ2016」や「第20回シドニー・ビエンナーレ」(2016)に参加するなど国内外で活動している。
本展では、銀座のギャラリー小柳の前身である1852年創業の陶器店・陶舗小柳の歴史に着目。関東大震災や第二次世界大戦の混乱の中で行われた銀座の都市空間の近代化を、インスタレーションで表現する。
展示タイトルの「柳まつり」とは、1932年に銀座通りの街路樹として柳の木が復活したことを機に企画され、1962年まで銀座界隈で開催されていた祭のこと。対する「小柳まつり」とは陶舗小柳の五代目店主・小柳嘉一郎が「柳まつり」に掛けて企画したキャンペーンで、自らデザインした「柳まつり小柳まつり」という短冊で商品を飾りたてた。
本展では、当時の銀座老舗商店の外観に着想を得たショーケースに商品や資料を収める「柳まつり」、そして食卓を描いた静物画のように短冊と陶器を配置する「小柳まつり」の二部構成で展示を行う。