「没後30年 菅井汲」展が広島県立美術館で開催。菅井が目指した「未来の美術」とは何か【2/2ページ】

「未来の芸術」を目指して

 第3章「表現の揺らぎ」では、80年代以降、道路のイメージから派生した「S」のシリーズにおいて、荒々しい絵具のタッチやこれまで使わなかった色調を取り入れ、自ら課した制約のなかで多様な表現を模索した葛藤と挑戦を描き出す。

菅井汲《S.23 S.24 S.25 S.26》(1991) 広島県立美術館

 第4章「マチエールを排して」では、1990年代の晩年を代表する「カドミウム・レッド」シリーズといった力強い作品群や、《タンブール》《Sサークル》など新たな表現に挑み続けた作品を展示。生涯「今一番したいこと」に全力で挑み続けた菅井の活動を紹介する。

菅井汲《Rouge-de-Cadmium11. 12(カドミウム・レッド11. 12)》(1992) 広島県立美術館

 エピローグ「菅井汲という人」では、作品だけでなく、菅井が手元に大切に残していた「ガラクタ」や筆のオブジェ、愛車のパーツなどの資料を公開。ユニークなエピソードの陰に隠れた、ひとりの人間としての菅井の素顔と魅力を浮き彫りにする。

菅井汲《無題(絵の具の塔)》(1960頃) 広島県立美術館

 なお会期中には、三重県立美術館館長・速水豊による記念講演会や、学芸員による美術講座、ギャラリートーク、ワークショップなど多彩な関連イベントも予定されている。

編集部