茨城県水戸市の水戸芸術館現代美術ギャラリーで、作家・竹村京(1975〜)の個展「竹村 京 うごくせかい」が開催される。会期は7月25日〜10月12日。担当は後藤桜子(水戸芸術館現代美術センター学芸員)。
竹村は、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻(油画)修了後、ベルリン芸術大学で学ぶ。2015年に群馬県高崎市へと移り、現在も同地を拠点に国内外で作品を発表している。国内での代表的な展覧会に、「長島有里枝× 竹村京 まえといま」(群馬県立近代美術館、2019)や、個展「竹村京-どの瞬間が一番ワクワクする?」(ポーラ美術館、2018)。近年の主な展覧会には、「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術」(京都国立近代美術館、2025)、「ついてはなれて」(タカ・イシイギャラリー 前橋、2025)、「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(国立西洋美術館、2024)、「ホーム・スイート・ホーム」(国立国際美術館、2023/丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2024)、「広島市現代美術館リニューアルオープン記念特別展 Before/After」(広島市現代美術館、2023)、ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」(横浜美術館、2020)などがある。


「縫う」行為を通じて、人々の記憶や出来事を「仮留め」する
竹村は「縫う」という行為を通じて、時間の流れや人・物の移動、天変地異、個人の記憶といった揺らぐ世界のなかにある対象に新たな光を与える作品を制作してきた。友人の幸せな生活を等身大で写し取り、その一部を縫い留めることで地震にも負けない保管のかたちを模索した初期作品《A.N. のリビングルーム、地震の予感》(2005)をはじめ、写真やドローイングに布を重ねて刺繍する平面作品や、壊れた日用品を布で包み失われた部分に沿って独自の「修復」を行う立体作品、緻密な運針のなかに時間の流れや世界との交感を表した《Time counter》(2019〜24)など、その関心は一貫して、個人の記憶や出来事を作品のなかに「仮留め」し、一つひとつの存在を現在から未来へとつなぐことへと向けられている。


竹村にとって過去最大規模の個展となる本展では、2000年代の代表作を起点に、「修復」 を施した作品群や、「天災」と「修復」を主題とした新作インスタレーションを展示するほか、水戸の街なかで参加者が「修復」の意味を考え実践するワークショップなども実施。その多彩な創作から、記憶と喪失、時間や行為における不可逆性といったテーマへとせまるものとなる。
また、本展では「記憶」「修復」「災害」「家」といった主題が有機的に交差し合う2つの新作も発表される。日常のなかの些細な変化から天変地異まで、絶えず揺れ動く世界に対し、自らの手で縫うという身体的な行為を通じて向き合い続ける竹村の創作の真髄を見ることができるだろう。





























