Acne Studiosの文化プロジェクト「Acne Paper」。イラストレーターのルネ・ブーシェのドローイング70点をパリで公開

ファッション誌を舞台に活躍したイラストレーターのひとりであるルネ・ブーシェ。ファッションブランド「Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)」による文化プロジェクト「Acne Paper」の一環として、その未公開ポートレート約70点を紹介する展覧会がパリで開催中だ。会期は6月7日まで。

展示風景より © Acne Studios

 スウェーデンのファッションブランド「Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)」が手がける文化プロジェクト「Acne Paper」。同プロジェクトが、展覧会「Acne Paper Palais Royal – The Women of René Bouché」をパリのパレ・ロワイヤルで開催している。会期は6月7日まで。

 本展は、20世紀のファッション誌で活躍した代表的なイラストレーターのひとり、ルネ・ブーシェのスタジオアーカイブから選ばれた約70点のポートレート・ドローイングを紹介するものだ。展示作品の多くは、長年にわたり妻のデニーズ・ブーシェの自宅で大切に保管されてきたもので、これまでほとんど公開されてこなかった。キュレーションは批評家のディーン・リース=モーガンが担当し、まとまったかたちで紹介されるのは、1957年にニューヨークのアレクサンダー・イオラス・ギャラリーで開催された展覧会以来となっている。

展示風景より © Acne Studios
展示風景より © Acne Studios

 ブーシェは1905年生まれ。主にファッション誌『VOGUE』を舞台に活躍したイラストレーターとして知られ、カール・エリクソン(エリック)やレーヌ・ボート=ウィロメらと並び、同誌を代表する存在のひとりとして評価されてきた。そのポートレートは、簡潔で洗練された線描によって対象をとらえながら、人物の内面や気配までも繊細に描き出す点に特徴がある。

 本展に出品されている作品に描かれているのは、20世紀半ばの文化や社交界の中心にいた女性たちだ。飛行士やパトロン、コレクター、社交界のホステスなど、多様な分野で活躍した女性たちが、落ち着きと自信を備えた姿で表現されている。ブーシェは外見の美しさにとどまらず、身振りや姿勢、一瞬の表情に宿る人物の本質に注目し、「内側からにじみ出るものこそが真の美である」と考えていたという。

展示風景より © Acne Studios
展示風景より © Acne Studios

 またブーシェにとってポートレートとは、対象への理解を深める行為であると同時に、愛情を伴う批評でもあった。ブーシェの日記には「違いを生むのはスタイルではなく誠実さである」と記されており、その言葉どおり、作品には対象との関係性や観察の深さが色濃く反映されている。

 たんなる肖像表現にとどまらず、当時の文化的空気や社会的ネットワークまでも浮かび上がらせる本展。ブーシェの線を通して、20世紀半ばの女性たちの姿と、その時代の美意識があらためて照らし出されているといえるだろう。

編集部

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