古来より現代に至るまで、情報伝達の中心となっている文字と画像。その2つが組み合わさったもっともシンプルなかたちともいえる「挿絵本」を集めた展覧会が、東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館で開催される。
書物に絵をいれることは、すでに古代エジプトの時代から行われており、「挿絵の歴史は書物の歴史とともに始まる」ともいわれる。物事への理解を深めるために役立てられてきた挿絵本には、時代ごとの人々の情報に対する要望が色濃く反映されている。
本展では、主に中国の明・清時代と、日本の江戸時代に作られた挿絵本を、その時代背景とともに紹介。「法華経」をわかりやすく絵解きした《妙法蓮華経変相図(みょうほうれんげきょうへんそうず)》が本邦初公開されるほか、官吏登用試験「科挙」の受験参考書としてつくられた《纂図互註礼記(さんずごちゅうらいき)》、日本初の本格的な彩色植物図鑑《本草図譜(ほんぞうずふ)》など、多彩な挿絵本が展示される。また、重要文化財の渡辺崋山筆《芸妓図》も特別公開される。