直島の本村地区にある民家を改修・増築した「またべえ」。ここが新たな展示スペースとなり、長期インスタレーション「Ring of Fire - ヤンの太陽&ウィーラセタクンの月」展が始まった。会期は2027年(予定)まで。
本展は、アピチャッポン・ウィーラセタクンがヤン・ヘギュと初めて協働で取り組んだ作品で、「昼」と「夜」の2部で構成されている。
日中は、ヤンによる赤と銀の鈴で構成され、火山が逆さまになったような形をした《Sonic Eruption Upside Down》と、さぬき盆灯篭に由来し、外装の上下にシャーマンのような紙の花をあしらった《Mesmerizing Votive Pagoda Lantern》の2つの彫刻が、地殻変動を表すリアルタイムのデータと連動し、光や音、回転や振動を通して地中深くの見えない動きを伝える。
いっぽう日没前後からは、そこにウィーラセタクンの映像や照明、サウンドが加わる。これは過去124年間のリング・オブ・ファイヤーの地殻変動データと作家の長年の旅と探検の断片がコラージュされたもので、夜が深まるにつれ、映像は点描や光の線に分解され、幽霊のように現れては消え、空間を漂う。
国際的に活躍する2作家が太平洋を囲む火山帯(リング・オブ・ファイヤー)に自然界の営みの連続性を見出し、光、影、動き、振動に焦点を当てた意欲作だ。