国際的に高い評価を受ける写真家・石元泰博(1921〜2021)。そのヨーロッパで過去最大規模の個展が、パリの写真と映像のアートセンター「ル・バル(LE BAL)」にて開催される。会期は6月19日〜11月17日。
石元は農業移民の両親のもと、アメリカ・サンフランシスコに生まれる。3 歳のときに両親の郷里・高知県へ移り、高知県立農業高校卒業までの少年時代を同地で過ごした。1939年に単身渡米したが、太平洋戦争が開戦し、収容所生活を経験。終戦後はシカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)で、写真技法および、石元作品の基礎をなす造形感覚の訓練を積んだ。その後、53年に帰国。写真によって日本の伝統美にモダニズムを見出した「桂離宮」が、写真界のみならず、美術、デザイン、建築などの幅広い分野において高い評価を受けた。
本展は、高知県立美術館が所蔵する約3万5000点の石元作品から、ヴィンテージプリントを中心に169点を精選。シカゴ ニュー・バウハウス時代の初期作品をはじめ、「桂離宮」「東京」「シカゴ、シカゴ」「刻」シリーズを一挙公開する。
キュレーションは、ディアンヌ・デュフール(ル・バル共同ディレクター)と朝倉芽生(高知県立美術館学芸員)。高知県立美術館とル・バルの連携により、両洋の眼を持った写真家・石元が残した仕事の歴史的・現代的意義を探るものとなるという。