東京・中目黒のN&A Art SITEで、キュレーター・南條史生による企画展シリーズ「NANJO SELECTION」の第3弾として、李晶玉の個展「アナロジー:三つのくにづくりについて」が開催される。会期は3月29日〜4月26日。
李は1991年東京都生まれ。2018年、朝鮮大学校研究院総合研究科卒業。東京を拠点に活動。 近年の個展に「神話#2」(NANAWATA、2023)、「SIMULATED WINDOW」(原爆の図 丸木美術館、2022)、「記号の国」(Gallery Q、2021)。グループ展は「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989–2019」(京都市京セラ美術館、2020)、「VOCA展 2020 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、2018)などに参加している。
李は、在日朝鮮人3世という立場から、国家や民族、アジアの歴史などに対する横断的な視点を足がかりに制作を行ってきた。古典絵画から構図や象徴的なモチーフを引用し、コラージュなどの手法を用いて、写実的かつ複層的な絵画を描く。
南條は李について「明確なテーマ性=物語を持っている」としたうえで、本展について次のようにコメントしている。
2022年に原爆の図丸木美術館で開催された「SIMULATED WINDOW」では、原爆とそれを投下した爆撃機エノラ・ゲイが主題でした。線描で描かれた繊細な描画と爆心地の上の赤い玉、まがまがしさと透明さの共存は、これまで見たことのない鮮烈な視覚世界を開きました。また2023年にNANAWATAで開催された「神話#2」では日本の「天岩戸」神話、韓国の「都柝野」神話と北朝鮮の建国の物語をもつれた糸のように対置させています。今回の展示はこの神話シリーズの延長であると同時に、新たな新作で、次なる境地を示すことを試みています。(プレスリリースより)