現実と地続きにある非現実のような独特な世界を描く画家・野又穫(1955〜)。その東京オペラシティ アートギャラリーの企画展示室では初となる個展「野又 穫 Continuum 想像の語彙」が、7月6日〜9月24日の会期で開催される。
野又は東京藝術大学でデザインを学んだのち、広告代理店のアートディレクターとして勤務するかたわら絵画を制作。1986年に佐賀町エキジビット・スペースでの個展を皮切りに、いくつかの個展を開催して作家活動に専念することとなり、以降「知る人ぞ知る」作家として熱心なファンの注目を集めてきた。東京オペラシティ アートギャラリーのコレクション寄贈者・寺田小太郎も野又作品のファンであり、1980年代より毎年作品を収集。現在では代表作40点あまりが収蔵されている。
そんな野又は2020年、イギリスの有力ギャラリー、ホワイト・キューブにてオンライン個展が開催されたのちに、同ギャラリーに所属。一躍世界を舞台とする作家となった。そのきっかけとなったのは、04年に来日した同ギャラリーディレクターが東京オペラシティ アートギャラリーで野又の個展を観たことがきっかけとなっている。
本展では、同館のコレクションや作家所蔵のものを含む、初期から最新作までを一堂に展示。野又作品の全貌が総覧されるとともに、ひとりのコレクターと作家の関係から始まったこのストーリーも、展示を通じて伝わってくる内容となるだろう。