世界中で広く愛され、日本でも近年人気が高まり続けているフィンランドの家具やインテリア、飲食器などのプロダクト。そのなかでも、「アートグラス」にフォーカスした展覧会「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」が、東京都庭園美術館で開催される。会期は6月24日~9月3日。
1917年、フィンランドはロシアから独立し、ナショナリズムが高まるなかで新しい国づくりと国民のアイデンティティを取り戻すために様々な側面でモダニズムが推進された。その動向はガラスの分野も例外ではなく、1930年代にミラノ・トリ エンナーレや万国博覧会などの国際展示会、それらに向けた国内コンペティションが数多く開催されるうちに、よりモダンなデザイン性が求められるようになったという。デザイナーが手がけた芸術的志向の高いプロダクト「アートグラス」において、フィンランドらしさが芽生えていったのもこの頃だった。
第二次世界大戦後、若きデザイナーたちがしのぎを削って提供した「アートグラス」は国家復興の一翼を担い、1950年代に入るとフィンランドのグラスアートは更なる発展を遂げ、国際的な名声を得て世界のデザイン界にその存在を顕示するようになっていった。
本展は、デザイナーが自ら「アートグラス」の名のもとにデザインし、職人との協働作業によって生み出された作品に着目したもの。1930年代の台頭期から1950年代に始まる黄金期、そしていまに至る8名のデザイナーと作家が手がけた優品約140件に焦点を当て、フィンランド・グラスアートの系譜をたどることができる機会となる。
展示は「第1章 フィンランド・グラスアートの台頭」「第2章 黄金期の巨匠たち」「第3章 フィンランド・グラスアートの今」で構成。第1章ではアルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト/グンネル・ニューマン、第2章ではカイ・フランク/タピオ・ヴィルッカラ/ティモ・サルパネヴァ/オイヴァ・トイッカ、第3章ではマルック・サロ/ヨーナス・ラークソが紹介される。