東京・清澄白河のSatoko Oe Contemporaryで、オーストリア・ウィーンを拠点に活動するアーティスト・丹羽良徳の展覧会が開催される。会期は4月15日~5月20日。
丹羽は1982年愛知県生まれ、多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業。非生産的で無意味なパフォーマンスを公共空間で行い、そこで生じる軋轢や問題などを含めて映像に記録することで、制度化された公共概念を様々な観点から批評してきた。
近年は、ロンドンの公共空間で電話越しに可読可能な文字情報をランダムで読み上げながら、ギャラリーまでの道のりをほふく前進で進むパフォーマンス《私たちの所有財産を語る》(2022)や、プラメヤ芸術財団の招聘によりインド・デリーで新聞広告を出稿し、ある一般市民の所有するあらゆる持ち物を一定期間借り受け、その生活を模倣するかのように生活する市民参加型プロジェクト《他人の所有物に生きる》(2023)などを実施している。
また、新型コロナウイルスのパンデミック以降は、パフォーマンス作品の拡張として、毎日郵便受けに投函されるスーパーマーケットのチラシや新聞のイメージとマスキングテープを組み合わせたコラージュ作品を制作。大量生産された工業製品や食品などのイメージに、資本主義社会を批判する様々な「アクション=タイトル」が日本語やドイツ語で明示されている。
本展ではこうした作品を含め、大量生産、大量消費、大量廃棄に翻弄される人類のあり方に疑問を投げかける作品を展示。資本主義社会における人間のアイデンティティに光を当てることが目指される。