丹羽良徳は1982年生まれ。これまでパフォーマンスや映像、インスタレーション、そして展覧会の会期中に進行するプロジェクトなど、あらゆるメディアを横断しながら社会に介入する作品を手がけてきた。2016年には拠点をオーストリア・ウィーンに移し、映像メディアが与える社会的な機能に注目。今年4月にはGALLERY X BY PARCOで個展「誰も要求していない計画に全会一致で合意する」を行った。
そんな丹羽による個展「想像したはずの共同体」が、東京・清澄白河のSatoko Oe Contemporaryで開催される。
本展では、東京オリンピック開催をめぐるフェイクドキュメンタリー《想像したはずの共同体》を中心とした作品群を展示。同作は1964年の東京オリンピックの記録映像や2020年のオリンピックを舞台とした選手・監督へのインタビュー、総理大臣の政治演説など、時代や立場の異なる様々な言説をつなぎ合わせたもの。映像全体のストーリーと登場人物の発言内容が相違する状況を創作することで、人々が予測/欲望する未来像とはなんなのかを浮かび上がらせる。
前期はオリンピック、後期はパラリンピックと同日程で開催される本展。丹羽は同作を含むプロジェクトを、オリンピックの直前まで続けるという。目前に迫った東京オリンピックと社会の様相を見据える、ひとりの作家の企てに注目したい。