池田亮司から二次元派まで。今週末見たい展覧会ベスト5

先週末から今週にかけて開幕する/閉幕する展覧会のなかから、とくに注目したい5つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

展示風景より、《point of no return》(2018) 撮影=浅野豪

データを通してみる、新たな世界。「池田亮司展」(弘前レンガ倉庫美術館)

展示風景手前から、《data.tecture [n°1]》(2018)、《data-verse 3》(2020)

 光や音を用いて、鑑賞者の感覚を揺さぶる没入型の作品を数多く発表してきた、アーティストで作曲家の池田亮司。現在、弘前レンガ倉庫美術館にて開催中のその大規模個展が28日、ついに閉幕する。

 本展の中心であり、国内初展示となる映像作品《data-verse》は、NASAをはじめ多くの科学機関によって一般に公開されたデータをもとに構成。普段は不可視であるために意識されない膨大なデータの世界へと、人々を引き込む鑑賞体験を生み出す。

 また本展では、レーザーによる作品《exp》や、床面へのプロジェクション作品などの新作・近作を紹介。加えて池田によるこれまでの音楽作品の試聴や活動記録の閲覧ができるスペースも設置する。

 会場となる弘前れんが倉庫美術館は、約100年前の酒造工場を改修した建物であり、「サイト・スペシフィック」な作品展示を生かすような建築が特徴。その大空間において、池田による各展示室の映像や音響が共鳴、共振するのもみどころのひとつと言える。レポート記事はこちらから。

会期:2022年4月16日〜8月28日
会場:弘前れんが倉庫美術館
住所:青森県弘前市吉野町2-1
電話番号:0172-32-8950
開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:火
料金:一般 1300円 / 大学生・専門学校生 1000円 / 高校生以下無料

大型アクリル絵画シリーズ「わが永遠の魂」も展示。「心の中の詩」(草間彌生美術館)

3階の展示風景より、「わが永遠の魂」(2009-)シリーズと立体作品《生命(REPETITIVE VISION)》(1998) © YAYOI KUSAMA

 東京・草間彌生美術館の展覧会「心の中の詩」が28日に閉幕する。

 草間彌生は、幼時の幻覚や内面に湧き上がるヴィジョンなど、極めて個人的な体験を創作の源泉とするアーティスト。本展では、内からあふれ出すイメージの数々や心の葛藤を映し出した平面や立体、インスタレーションなど、草間の多様な作品を展示している。

 さらに、筆の動きとともに頭に浮かんでくるヴィジョンを画面上に描いた最新の大型アクリル絵画シリーズ「わが永遠の魂」を併せて展示。初期から現在に至るまで、ひと時も尽きることなく自己増殖する心のなかのイメージが生み出す、草間の豊かな創作表現を展覧することができる。レポート記事はこちらから。

会期:2022年3月3日〜8月28日
会場:草間彌生美術館
住所:東京都新宿区弁天町107
開館時間:11:00〜17:30  ※日時指定の予約・定員制(各回90分)。毎月1日10:00(日本時間)に美術館ウェブサイトにて翌々月分のチケット発売開始。チケットは美術館ウェブサイトのみで販売。美術館窓口での取り扱いはなし
休館日:月火水(祝日を除く)
料金:一般 1100円 / 小中高生 600円 / 未就学児無料

日本美術から読み取る、日本人の心象風景。「歌枕 あなたの知らない心の風景」(サントリー美術館)

第四章前期展示風景より

 詠われた歌枕の世界を紹介する展覧会「歌枕 あなたの知らない心の風景」が、サントリー美術館で28日まで開催されている。

 かたちのない感動や感情を、かたちのあるものとして表わす手段として詠む日本固有の「和歌」。ある土地を表す和歌が歌人のなかで広まると、実際の風景を知らなくても、その土地のイメージを通して自らの思いを表わすことができるまでに至るようになる。そして、和歌と結びつく想像上の特定の土地や名所を「歌枕」と呼ぶようになったという。

 また、「歌枕」は美術とも深い関係を持つ。本展は、現代の人々には馴染みのない、しかしかつては誰もが思い浮かべることのできた日本人の心の風景・歌枕の世界を、絵画や書、工芸品などの日本美術を通じて紹介する展覧会だ。レポート記事はこちらから。

会期:2022年6月29日〜8月28日
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4(東京ミッドタウン ガレリア3F)
電話番号:03-3479-8600
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00)※いずれも入館は閉館30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:火(8月23日は18:00まで開館)
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

新たな潮流となるか。「二次元派展」(代官山ヒルサイドフォーラム、N&A Art SITE)

展示風景より

 アジアが注目する現代アーティスト約30名が集まる展覧会「二次元派展」が、代官山ヒルサイドフォーラム(~8月28日)とN&A Art SITE(~10月1日)の都内2会場で同時開催中だ。

 本展では、昨今SNSをきっかけに東アジアで高い人気を獲得している日本の人気アーティストたちと、それを取り巻くアートシーンを「二次元派」と名づけ、およそ100点を超えるアート作品によって、日本のアートの現在地、そしてアジアの若者に共通する感性や時代感覚を読み解くことを試みる。

 参加アーティストは、天野タケル、大澤巴瑠、奥田雄太、小田望楓、さめほし、金澤シュウ、カネコタカナオ、木原健志郎、木原幸志郎、きゃらあい、サワダモコ、杉田万智、suma、中居ベル、野澤梓、西村昂祐、橋本ユタカ、BYNAM、東麻奈美、宏美、フカミエリ、Hogalee、まつもとこうじろう、森洋史、山口真人、山口歴、山口つばさ、Rooo Lou、渡邊涼太。

会期:(第1会場)2022年8月24日〜28日、(第2会場)〜10月1日
会場:(第1会場)代官山ヒルサイドフォーラム、(第2会場)N&A Art SITE
住所:(第1会場)渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟 代官山ヒルサイドフォーラム、(第2会場)東京都目黒区上目黒1-11-6
開館時間:(第1会場)11:00〜20:00、(第2会場)11:00〜18:00(最終入場は閉場30分前まで。最終日〜19:00)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
料金:無料

ブルーノ・ムナーリやネフのおもちゃも。「目黒区美術館開館35周年記念展 美術館はおもちゃ箱、道具箱」(目黒区美術館)

展示風景より、「Naef(ネフ社)」のトイ

 目黒区美術館開館35周年記念として開催中の展覧会「美術館はおもちゃ箱・道具箱」が28日に閉幕する。

 本展は、美術をより深く知るための資料や、様々な年代の人たちに楽しんでもらおうと目黒区美術館が所蔵してきた教材コレクションを紹介するもの。美術をより多角的な視点から知るための「画材と素材の引き出し博物館」などの資料をはじめ、様々な年代が目で楽しみ、手で遊ぶことができる「トイコレクション」など、今秋に開館35年を迎える美術館の歩みの成果を展覧する。

 展示は大きく3つのパート「トイコレクション」「画家の画材・道具」「画材と素材の引き出し博物館」で構成。出展作家・展示作品は、伊原宇三郎、川村清雄、岡田謙三、藤田嗣治ほか(画家の画材・道具)、クルト・ネフ、ペア・クラーセン、フレドン・シャプール、ブルーノ・ムナーリ、福田繁雄、中川久嗣ほか(トイコレクション・ワークショップコレクション)、目黒区美術館オリジナル美術教材(画材と素材の引き出し博物館)。レポート記事はこちらから。

会期:2022年7月9日〜8月28日
会場:目黒区美術館
住所:東京都目黒区目黒2-4-36
電話番号:03-3714-1201 
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認 
休館日:月 
料金:一般 700円 / 65歳以上・大学・高校生 550円 / 中学生以下無料

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