Chim↑Pom展から上野リチ展まで、今週末に見たい展覧会ベスト3

今週開幕した展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」展示風景より、《ラブ・イズ・オーバー》(2014/2022)

Chim↑Pomのこれまでの活動を総覧する。「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」(森美術館)

 日本を代表するアーティスト・コレクティブとして存在感を示す「Chim↑Pom(チンポム)」。その初となる本格的な大規模回顧展「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」が森美術館で開幕した。

Chim↑Pomメンバー(左より、林靖高、水野俊紀、岡田将孝、稲岡求、エリイ、卯城竜太)

 2005年に東京で結成したChim↑Pomは、09年の《ヒロシマの空をピカッとさせる》や東日本大地震の際に発表された《LEVEL 7 feat.『明日の神話』》(2011)、歌舞伎町のビルの建材を素材として使用した「ビルバーガー」シリーズ(2016/2018)など、数々の強烈な印象を残すプロジェクトを発表してきた。

 本展は、このChim↑Pomのこれまでの活動を総覧するもの。森美術館内では、「都市と公共性」「道」「DON’T FOLLOW THE WIND」「ヒロシマ」「東日本大震災」など10のセクションが展開。虎ノ門にサテライト会場として設置されたミュージアム+アーティスト共同プロジェクト・スペースでは、議論を深めることを目的に、映像作品《スーパーラット》やネズミの剥製を使った《スーパーラット(千葉岡君)》など3点が展示されている。

会期:2022年2月18日~5月29日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜22:00(火〜17:00、ただし5月3日〜22:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:公式サイトを参照

新しいデザインを生み出したデザイナーの全貌を追う。「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」(三菱一号館美術館)

 世紀末芸術の爛熟期にあったウィーンで生まれ、後に京都に移住し幅広いデザインを生み出したデザイナー・上野リチ。その世界初の包括的な回顧展「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」が、三菱一号館美術館でスタートした。

展示風景より、上野リチ・リックス《日生劇場旧レストラン「アクトレス」壁画(部分)》(1963)

 ウィーン工房でデザイナーとしてデビューし、京都移住後は2都市を行き来しながら活動したリチ。後年は京都市立美術大学において教鞭をとり、退職後はインターナショナルデザイン研究所を開設するなど後進の育成にも尽力した。

 本展は、そんなリチの仕事の全貌を追うもの。彼女が遺したスケッチブックや七宝カラーサンプルなどを紹介するプロローグから、各時期の作品を総覧できる3章、そして教え子たちとともに様々な場所に遺されたデザインが飾られるエピローグまで、リチのデザインがいかに時代を超え、強い生命力で人々の心を掴み続けるのかを紐解く。

会期:[前期]2022年2月18日~4月10日、[後期]2022年4月13日~5月15日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(祝除く金、第2水、会期最終週平日、開館記念⽇の4⽉6⽇~21:00)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月(2⽉28⽇、3⽉21⽇、3⽉28⽇、4⽉25⽇、5⽉2⽇、5⽉9⽇は開館)、4⽉12⽇
料金:一般 1900円 / 大学・高校生 1000円 / 小中学生無料 ※予約方法は三菱一号館美術館のウェブサイトへ

芸術の新しい可能性を探る作品が一堂に会す。「第25回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」(川崎市岡本太郎美術館)

 岡本太郎の精神を継承し、自由な発想で芸術の新しい側面を切り開く次代のアーティストを顕彰することを目的に毎年行われている「岡本太郎現代芸術賞」(通称「TARO賞」)。その第25回目の入選作家の作品が揃う「岡本太郎現代芸術賞展」が、2月19日より川崎市岡本太郎美術館で開催される。

岡本太郎賞を受賞した吉元れい花の《The thread is Eros, It's love!》

 今年で25回目を迎える本賞では、578点の応募があり、創造性あふれる24名(組)の作家が入選。入選者は、青山夢、井下紗希、伊藤千史、因幡都頼、岡田杏里、岡田智貴、角文平、GengoRaw(石橋友也 + 新倉健人)、硬軟+stenographers、平良志季、高田茉依、張安迪、津川奈菜、出店久夫、中澤瑞季、野々上聡人、藤森哲、堀川すなお、三塚新司、村上力、森下進士、Yoko-Bon、吉元れい花、与那覇俊(50音順)。

 大賞となる岡本太郎賞には吉元れい花が、岡本敏子賞には三塚新司が選出された。21世紀における芸術の新しい可能性を探る、意欲的な作品が一堂に会す今年のTARO賞ならではの熱気も会場で感じたい。

会期:2022年2月19日~5月15日
会場:川崎市岡本太郎美術館
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
電話番号:044-900-9898
開館時間:9:30~17:00 
休館日:月(3月21日、5月2日を除く)、2月24日、3月15日、3月22日、5月10日、5月11日 
料金:一般 700円 / 大学・高校生・65歳以上 500円 / 中学生以下無料

編集部

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