EXHIBITIONS

上野リチ

ウィーンからきたデザイン・ファンタジー

2022.02.18 - 04.10, 2022.04.13 - 05.15

上野リチ・リックス プリント服地デザイン:ボンボン(2) 1925-35頃 京都国立近代美術館蔵

ポートレート:上野リチ・リックス 1930年代 京都国立近代美術館蔵

上野リチ・リックス プリント服地[野菜] 1955頃(再製作:1987) 京都国立近代美術館蔵

上野リチ・リックス クラブみち代 内装デザイン(1) 1961 京都国立近代美術館蔵

上野リチ・リックス スキー用刺繍手袋デザイン 1935-44 京都国立近代美術館蔵

上野リチ・リックス 七宝飾箱:馬のサーカスⅡ 1950頃(再製作:1987) 京都国立近代美術館蔵

 上野リチはウィーンと京都、2つの都市を行き来しながら活動したデザイナー。そのデザインの全貌を展観する世界初の回顧展「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」が三菱一号館美術館に巡回する。

 フェリーツェ・リックス(のちの上野リチ・リックス、1893〜1967)は、世紀末芸術の爛熟期にあったウィーンで生まれ、新しいデザインを生み出した20世紀初頭のウィーンで育った。その後、ウィーン工芸学校においてウィーン工房のヨーゼフ・ホフマンらに師事。卒業後は同工房に入り、自由な繰と生命感あふれる色彩、烏や魚、花や樹木といった身近な自然を組み合わせたデザインが人気を博した。

 32歳の時、リチはホフマンの下で働いていた京都出身の日本人建築家・上野伊三郎と出会い結婚。2つの都市を往復しながら、ウィーン工房所属デザイナー(〜1930)として活動を続けた。日本では上野リチと名乗り、七宝、織物など京都の伝統工芸の技術を取り入れながら、テキスタイル、身近な小物類、個人住宅や店舗のインテリアほか、幅広いデザインに携わった。また第二次世界大戦後には、教育者として後進の指導にもあたった。

 本展では、リチの大規模コレクションを所蔵するウィーン、ニューヨーク、そして京都から作品が集結。ウィーン工房時代にはじまり、京都への移住後、輝きを増していくリチのデザインと夫・伊三郎との協働まで、リチの仕事の全貌を追う。