初台にある東京オペラシティ アートギャラリーが2022年度の展覧会ラインナップを公開した。
22年度の幕開けを飾るのは、昨年107歳で逝去した篠田桃紅(1913〜2021)の個展だ(4月16日〜6月22日)。中国の大連に生まれ、東京で育った桃紅は、前衛書から墨による独自の抽象表現の領域を拓き、探究し続けた。戦後まもなく、40歳を越えて単身ニューヨークに渡り活動の場を大きく拡げ、大きな注目と高い評価を獲得。また帰国後は、墨による独特な抽象表現によって揺るぎない地位を確立した。本展は、桃紅の70年を越える活動の全貌を紹介するとともに、その広い射程と現代性を今日的な視座から検証するものとなるという。
7月からは、2021年に開催が予定されていながらもコロナによって延期となったライアン・ガンダーの個展「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」があらためて開催される(7月16日〜9月19日)。本展では、ガンダーの制作に通底する「時間」「価値」「教育」「見過ごしていること」などのテーマにまつわる作品が展示室全体に散りばめられるという。また上階では、「ガンダーが選ぶ収蔵品展」も開催。どのようなキュレーションが展開されるのかにも注目したい。
22年度後半は日本人現代作家の個展が続く。10月8日〜12月18日の会期では、写真家・川内倫子の個展が開催。柔らかい光をはらんだ独特の淡い色調を特徴とし、初期から一貫して、人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さを撮り続けている川内。本展では、川内がこれまで発表したシリーズを織り交ぜつつ、アイスランドなどを撮影し地球とのつながりをテーマとする新しいシリーズ「M/E」に、コロナ禍における日常を撮影した新作群を加えて紹介される。
川内倫子に続くのは、泉太郎の個展だ。会期は2023年1月18日〜3月26日。1976年生まれの泉は、映像やパフォーマンス、ドローイング、絵画、彫刻といった様々なメディアを交錯させるインスタレーションを主な表現手法とするアーティスト。海外でも高い評価を得ており、2017年にパリのパレ・ド・トーキョーで海外初の大規模個展「Pan」を開催。20年にはバーゼルにあるティンゲリー美術館で個展「ex」を開催した。東京で初めての泉太郎の大規模個展となる本展では、過去作品を踏まえながら、本展に合わせて構成される泉の新たな挑戦を体験する機会となる。
なお、若手作家を紹介するprject Nは、諏訪未知、黒坂祐、䑓原蓉子、川人綾がラインナップされている。