東京・丸の内にある三菱一号館美術館が、2021年〜22年の展覧会スケジュールを発表した。印象派・光の系譜展、上野リチ展、ガブリエル・シャネル展を開催予定だ。
今年10月15日からスタートする「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜―モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン」(2022年1月16日まで)展は、約50万点の文化財を所蔵し、珠玉の印象派コレクションを誇るイスラエル博物館と共催するもの。
同館のコレクションから約70点の作品を厳選し、印象派に先駆けたクールベ、コロー、ブーダン、そしてモネ、ルノワール、シスレー、ピサロ、この流れを発展させたポスト印象派のセザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーガン、さらに印象派の光と色彩の表現を独特の親密な世界に移し変えたナビ派のボナールやヴュイヤールなどの作品を通して印象派の光の系譜をたどる。
なかでも、モネが「当たり年」と評される1907年に描いた《睡蓮の池》が展示。モネ全盛期の作品を含めた出品作の大半が、日本初公開となる。
22年2月18日からは、オーストリア出身のデザイナー、上野リチ(本名フェリーツェ・リックス)の作品世界の全貌を紹介する展覧会「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」が開催される(5月15日まで)。
19世紀末のウィーンに生まれた上野リチは、ウィーン工芸学校で先進的なデザインを生み出したウィーン工房のヨーゼフ・ホフマンらに師事。早くから才能を開花させ、工房の一員として頭角を現す。現地に留学中の建築家・上野伊三郎と出会って結婚し来日、第二次世界大戦前は京都とウィーンを往来して活動を続け、戦後は京都で主に教育者として後進の指導を行った。
上野リチの世界初となる包括的回顧展である本展では、オーストリア応用芸術博物館(ウィーン)やクーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザインミュージアム(ニューヨーク)、京都国立近代美術館など、国内外から作品を集結。ふたつの街でデザイナーとして活躍した彼女の多彩で魅力溢れる作品を、関連作家の作品を加えた約370点で紹介する。
22年6月から開催されるのは、「20世紀でもっとも影響力の大きい女性デザイナー」とも称されるガブリエル・シャネルの仕事に焦点を当てる回顧展「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」(仮称、9月25日まで)。
本展は、ガリエラ宮パリ市立モード美術館で開催された「Gabrielle Chanel. Manifeste de mode」展を日本向けに再構成する国際巡回展で、日本では32年ぶりとなるシャネルの回顧展。シャネルのスーツやリトル・ブラック・ドレスを代表に、シャネルのファッションに対する哲学を体現する特徴的な服や、コスチューム・ジュエリー、No.5の香水などの展示に当時の記録映像を加え、鑑賞者をシャネルのクリエーションの魅力へと誘う。