2021.9.1

展覧会史上初出展の秘仏も。東博で特別展「最澄と天台宗のすべて」が開催

東京国立博物館で、最澄の1200年大遠忌を記念した特別展「最澄と天台宗のすべて」が開催。寺外初公開を含む天台ゆかりの秘仏が全国から集結する。会期は10月12日~11月21日。

慈恵大師(良源)坐像 鎌倉時代・13~14世紀 東京・深大寺蔵
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 上野の東京国立博物館 平成館でこの秋、特別展「最澄と天台宗のすべて」が開催される。会期は10月12日~11月21日。

延暦寺 根本中堂 外観

 天台宗の開祖である最澄の1200年大遠忌を記念して開かれる本展では、天台宗の総本山であり、多くの高僧を輩出した比叡山延暦寺の宝物をはじめ、全国各地の天台宗諸寺院等が守り伝えてきた秘仏や文化財の数々が一挙に紹介される。

重要文化財 伝教大師(最澄)坐像 鎌倉時代・貞応3(1224) 滋賀・観音寺蔵

 例えば仏像では、日本最大の肖像彫刻として知られる「慈恵大師 (良源)坐像」(東京・深大寺蔵)が、展覧会史上初出展。同坐像は本展出品により205年ぶりの出開帳となる。その他にも「阿弥陀如来立像」(京都・真正極楽寺(真如堂)蔵)、「薬師如来坐像」 (岐阜・願興寺(蟹薬師)蔵)や「薬師如来立像」(京都・法界寺蔵)などが寺外初公開となる。

重要文化財 阿弥陀如来立像 平安時代・10世紀 京都・真正極楽寺(真如堂)蔵 展示期間:10月19日~11月3日
重要文化財 薬師如来坐像 平安時代・12世紀 岐阜・願興寺(蟹薬師)蔵

 また本展では、現存最古の最澄の肖像画を含む、インド・中国・日本の天台ゆかりの人物たちを描いた平安絵画、国宝「聖徳太子及び天台高僧像」も公開。11月2日~11月7日の6日間限定で全十幅が同時に鑑賞でき、その前後の期間は展示替えを行いながら六幅を見ることができる。

国宝 聖徳太子及び天台高僧像 十幅のうち 最澄 平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵 展示期間:10月12日~11月7日

 このほか、現存する唯一の最澄自筆の手紙とされる国宝「尺牘(せきとく)」(久隔帖(きゅうかくじょう))(10月12日~10月31日限定)や、比叡山延暦寺の総本堂「根本中堂」の一部再現などによって、最澄と天台宗の世界に迫る。

国宝 尺牘(久隔帖) 最澄筆 平安時代・弘仁4(813) 奈良国立博物館蔵
展示期間:10月12日~10月31日

 なお本展は東京の後、22年に九州、京都の国立博物館に巡回。地域的な特色を示しながら天台宗の広がりを紹介するという。

国宝 光定戒牒 嵯峨天皇宸筆 平安時代・弘仁14(823) 滋賀・延暦寺蔵