20世紀を代表する芸術家マン・レイの人生には、多くの女性が登場する。彼は親しい女性たちをモデルにし、ときには優しく甘美な、ときには強く自立的な女性像を生み出してきた。
親密で詩的な創作の世界を繰り広げてきたそんなマン・レイの作品世界を紹介する展覧会「マン・レイと女性たち」が、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催される。会期は7月13日~9月6日。
本展では、マン・レイの生涯を「ニューヨーク」「パリ」「ハリウッド」「パリふたたび」の4つの時代に分け、20世紀の様々な芸術の潮流とファッションを追いながら、その時々に登場する女性たちにフォーカスする。
ミューズとして名を連ねるのは、エコール・ド・パリの芸術家のモデルとなり文化人のあいだで人気を博したキキ・ド・モンパルナスをはじめ、ジュリエット・ブラウナー、画家・彫刻家のメレット・オッペンハイム、写真家・従軍ジャーナリストであったリー・ミラー。また、オッペンハイムのオブジェやジュエリーなどの作品11点も展示される。
アートとモードの出会いにも注目したい。ファッション写真家としても積極的に活動したマン・レイ。シュルレアリスムの芸術観は、女性のファッションにも影響を及ぼし、1920~30年代はアートとモードの蜜月関係が築かれる時代となった。本展では、当時の女性たちが身につけた装飾品や香水、当時の人々の余暇の過ごし方を示す資料も展示される。
加えて、マン・レイによるオブジェも紹介。例えば《レイの手/マン・レイ(手・光線)》は、束縛を嫌い、つくりたいものをつくってきたマン・レイの自画像といえるものだ。またオブジェのなかには女性たちに関わるものも多く、見る者の興味を引き困惑させる、無邪気なユーモアと遊び心を見ることができるだろう。