慶應義塾大学が三田キャンパスに竣工させた東別館に、4月19日、新ミュージアム「慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)」が開館する。
KeMCoは「交流を生み出す新しい大学ミュージアム」を目指し、同大に長い時間をかけて蓄積してきた様々な作品や資料を「オブジェクト」として展覧会やイベントを通じて公開。この「オブジェクト」に関わる人びとが対話することで「新しい景色」を開くことを目指すという。
オープン記念として開催される企画は「交景:クロス・スケープ」(4月19日~6月18日)。同展は「第一景」「第二景」のふたつの展覧会と、シンポジウムを中心に構成される。
「第一景」は「文字景──センチュリー赤尾コレクションの名品にみる文(ふみ)と象(かたち)」と題された展覧会。日本に大陸の文化をもたらし、典籍が編まれた「漢字」とそこから生まれた「ひらがな」に着目し、鏡、器物、写経といった漢字の資料、絵巻、屛風、工芸品といったひらがなの資料、さらに双方を組み合わせて編まれた物語資料を展示。慶應義塾に新たに寄贈される「センチュリー赤尾コレクション」の名品と、蓄積された資料を通して、その背後に広がる風景を探る。
「第二景」は「集景──集う景色:慶應義塾所蔵文化財より」。慶應義塾が所蔵する文化財のうち、卒業生の作品や、学内で形成された人的つながりをバックグラウンドにもつ作品を中心に紹介。駒井哲郎、小山敬三、宇佐美圭司、大山エンリコイサムらの美術作品なども展示される。
シンポジウムは「本景──書物文化がつくりだす連想の風景」と題され、書物が多様なアートのネットワークのなかで生み出す文化的風景、そして新たな視点の提供について多角的に検討する。登壇者は次の6名。クリスチャン・イエンセン(大英図書館前収書・司書部長)、アレクサンドラ・ギレスピー(トロント大学副学長)、アレッサンドロ・ビアンキ(オクスフォード大学ボドレアン図書館日本司書)、松田隆美(慶應義塾ミュージアム・コモンズ機構長/慶應義塾大学文学部教授)、佐々木孝浩(慶應義塾大学附属研究所斯道文庫・教授)、徳永聡子(慶應義塾大学文学部准教授)。なお、会期中は他にも様々なイベントやワークショップの開催を予定しているという。