ブルス・ドゥ・コメルス(1月23日開館予定)
グッチやサンローランなどを有するラグジュアリーグループ「ケリング」のCEOで、アート界にも絶大な影響力を持つコレクターであるフランソワ・ピノー。そのプライベートミュージアム「ブルス・ドゥ・コメルス」がパリに誕生する。
当初は2020年6月の開館を予定していながら、新型コロナウイルスの影響で大幅な開館延期となった同館。建築は1767年に建造された元商品取引所を安藤忠雄が改修設計する。3000平米のモジュラー式の展示スペースは、プロジェクトに応じて100〜600平米の展示室に分けられ、写真、絵画、ヴィデオからインスタレーション、彫刻まで、様々なスケールやメディアの作品を展示することができるという。パリの新たな名所となりそうだ。
長野県立美術館(4月10日開館予定)
これまで長野県信濃美術館としして親しまれてきた美術館が、新たに「長野県立美術館」として4月10日に開館する。
大自然に囲まれた「ランドスケープ・ミュージアム」として、「人と自然」を基本テーマに収集・展示を行う同館。絵画・彫刻だけでなく、写真やビデオ、アニメーションなど現代美術も積極的に取り上げていくという。建築は地下1階から地上3階、のべ1万平米にスペースで、これまでなかった常設展示室を開設。館内には周囲の山々を見渡せる屋上広場のほか、チケットレスで自由に入れる無料ゾーンを多く設け。
また新美術館と東山魁夷館のあいだの水盤周辺には、アーティスト・中谷芙二子による《霧の彫刻》を常設。周囲に広がる霧を用いた作品は、「ランドスケープ・ミュージアム」のシンボル的な存在となるだろう。
滋賀県立近代美術館(6月開館予定)
2017年4月より長期休館中となっていた滋賀県立近代美術館が、紆余曲折を経て今年6月に開館する。
同館は当初、建物の改修・新棟を建設した「新生美術館」として20年3月のオープンを目指してきたが、建築工事の一般競争入札が入札不落となり、18年7月には計画が凍結されるという事態に陥った。再開後は公立美術館としては全国的にも珍しい「アール・ブリュット」を展示のひとつの柱として掲げる同館。新館長には東京国立近代美術館で主任研究員を務めた保坂健二朗が就任しており、その手腕が期待されている。
アカデミー映画博物館(9月30日開館予定)
映画界の権威である「アカデミー賞」を主催するアメリカの映画芸術科学アカデミーが2021年9月に開館させるのが、「アカデミー映画博物館」だ。同館は、アメリカ・ロサンゼルスにオープンするもので、映画における芸術と科学の紹介とアーカイブを目的とする施設。
建築設計はプリツカー賞を受賞した建築家レンゾ・ピアノが担い、ロサンゼルスのウィルシャー大通りとフェアファックス通りの角にある1939年築の歴史的なサバン・ビル(旧メイ・カンパニー・ビル)を修復し、アカデミー映画博物館として生まれ変わせる。サバン・ビルは、展示スペースや288席のテッド・マン・シアター、シャーリー・テンプル教育スタジオ、特別イベントスペース、保護施設、カフェ、店舗を含む6階建てとなっている。
八戸市新美術館(夏~秋頃開館予定)
2020年に弘前れんが倉庫美術館が開館するなど、特徴的な美術館が数多くある青森県。その八戸市街地の中心部にあった八戸市美術館が全面的に建て替えられ、八戸市新美術館(仮)として今年夏〜秋頃に開館する。
同館の設計は、西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体。延床面積は約4500平米で、建築面積は約3000平米。敷地中央にはパブリック・スペースである「ジャイアントルーム」が設置される予定で、ラーニングセンター機能の基幹となるという。
村上春樹ライブラリー(秋頃開館予定)
早稲田大学内に開館予定の早稲田大学国際文学館「村上春樹ライブラリー」は、同校の校友である村上春樹が寄託・寄贈した小説作品の直筆原稿、執筆関係資料、書簡、インタビュー記事、作品の書評、海外で翻訳された書籍、蒐集した数万枚のレコード等を保管・公開する施設。
「村上春樹ライブラリー」の設計を担うのは隈研吾。早稲田キャンパスの坪内博士演劇博物館に隣接する4号館を大規模に改築し、村上文学の研究・交流・発信機能を備えた新たな拠点として生まれ変わる。館内には、研究者のための資料室や閲覧席、セミナースペースのほか、カフェやオーディオスペース等も計画されているという。