「作品による自伝」をテーマに、横尾忠則の芸術の全貌を多角的に紹介する展覧会「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」が、2021年1月15日〜4月11日に愛知県美術館で開催される。
横尾は1936年兵庫県西脇市生まれ。60年代初頭よりグラフィック・デザイナーやイラストレーターとして活動を開始し、80年代には「画家宣言」によって画家・芸術家へと活動領域を移した。斬新なテーマと表現による作品を次々と発表し、国内外で現代美術家として高い評価を得ている。
2000年代以降、横尾は、東京都現代美術館(2002)や広島市現代美術館(2003)、パリのカルティエ現代美術財団(2006)など国内外の美術館で次々と個展を開催。12年には横尾忠則現代美術館を神戸に開館し、その作品や関連資料を多様なテーマで企画展示している。今回の展覧会は、東海地方の美術館では初の横尾個展。その規模は、過去の個展と比較しても最大級のものとなる。
本展では、横尾が西脇市で過ごした高校時代の作品から、60年代に東京に進出したあと、グラフィック・デザイナーやイラストレーターとして一躍脚光を浴びたグラフィック作品、そして「画家宣言」後の絵画作品、さらには2000年代の代表作「Y字路」シリーズや最新作「原郷」まで、60年以上におよぶ作家活動の全貌に迫る豊富な作品群を展示する。
横尾の作品には、幼少時の記憶や自伝的なエピソードをモティーフとしたものが数多くあり、また近年の作品には、自身の体験や夢のなかで見た情景もしばしば登場している。その背後に存在するリソースは、本展のキーワードのひとつである「原郷(GENKYO)」だ。
すべての人間の魂のふるさととも言える「原郷」は、横尾にとって繰り返し立ち戻り、様々なイメージや記憶の連関を見出している、鬱蒼とした森のような領域を意味するもの。そこに、変幻自在でいつも新鮮な驚きをもたらす、横尾の独特なイメージ世界が生みだされるという。
本展に対して横尾は次のようなメッセージを寄せている。「私は絵画から目を外して来ませんでした。未だに絵画は私にとって未知の領域です。」絵画を中心に横尾の生涯の展開をたどる本展を、ぜひ足を運んで目撃してほしい。