現在開催中のヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」に参加する(PLOT48会場、オンラインで要事前予約)など、躍進を続けるアーティスト・飯川雄大。その個展「デコレータークラブー知覚を拒む」が、高松市美術館で開催されている。会期は10月18日まで。
飯川は1981年兵庫県生まれ、同地を拠点に活動。人の認識の不確かさや社会のなかで見逃されがちな事象に注目し、鑑賞者の気づきや能動的な反応を促すような作品を手がけてきた。昨年には「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館)に出展したほか、現在は神奈川芸術劇場で「KAATアトリウム映像プロジェクト vol.15 飯川雄大 HighLights Scene・NEXT FIRE」を開催中だ。
本展は「知覚を拒む」というテーマのもと、美術館のエントランスホールにあわせて構想された「デコレータークラブ」シリーズの新作《Intercepting Perception》のほか、映像作品《衝動とその周辺にあるもの》(2016~)や資料映像、館内に点在する《Very Heavy Bag》(2010~)で構成されている。
「デコレータークラブ」とは、周辺にある藻や貝殻を体中に貼り付けて擬態するカニのこと。飯川は情報があふれる現代の様相を、とらえがたいこのカニの実態に当てはめ、人と情報の関係を問い続けてきた。
写真に収めたくても全貌をとらえられない《ピンクの猫の小林さん》(2016~)など、飯川が2007年から制作を続ける同シリーズは、鑑賞者の戸惑いを誘い、私たちの周りにある情報が全体の一部でしかないこと、そして人の知覚が不確かであることを思い出させる。
なお同館では、「高松市美術館コレクション+(プラス) 身体とムービング」(9月6日まで)を同時開催中。こちらもあわせてチェックしてほしい。