国宝《洛中洛外図屏風(舟木本)》の高品位複製が限定10点で発売。売上の一部は東博文化財の保護に

凸版印刷が昨年開発した、印刷による複製技術「Refina Graphy」。同社は、和紙や金箔、金泥など日本の文化財の特徴である様々な質感を再現するこの技術を用いて、国宝《洛中洛外図屛風(舟木本)》の高品位複製を制作した。7月1日より、本複製が三越伊勢丹で販売される。限定10点。

Refina Graphyを用いた国宝《洛中洛外図屛風(舟木本)》の高品位複製 監修=東京国立博物館/文化財活用センター 制作=凸版印刷株式会社 原本=岩佐又兵衛筆、紙本金地着色、江戸時代・17世紀、東京国立博物館蔵

 2019年に凸版印刷は、金箔用紙に密着性の高いインクを使用し、岩絵具などで描かれた作品の絵柄を印刷する「Refina Graphy(レフィナ グラフィ)」を開発。金箔用紙に密着性の高いインクを使用し、岩絵具などで描かれた作品の絵柄を印刷することができる「印刷による複製技術」だ。

 加えて印刷技術を応用した表面加工により、和紙や金箔、金泥など日本の文化財の特徴である様々な質感の再現に成功。高精細なアーカイブデータと印刷が微細な表現を実現するとともに、独自のカラーマネジメントノウハウにより、本物の色調を忠実に再現できるという。

 20年7月1日より、このRefina Graphyを用いて制作された国宝《洛中洛外図屛風(舟木本)》の高品位複製が、三越伊勢丹で販売開始となる。本複製は、東京国立博物館監修のもと《洛中洛外図屛風(舟木本)》に描かれた景観の奥行きや華やかさを正確に表現したもの。

 なお本複製は限定10点とされ、売り上げの一部は東京国立博物館の文化財保護・普及・研究活動に役立てられる。国宝や重要文化財の高品位複製は、人々にとって、貴重な作品を身近に楽しむ新しい鑑賞の機会となるだろう。

(左)生命感あふれる微細な描き込みを表現、(右)伝統の手技による屏風の細部へのこだわり

編集部

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