2018年1月にリニューアルした東京国立博物館の東洋館にある「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」。同館と凸版印刷が協力して運営している本シアターには、横幅6.6m、高さ3.7mの超高精細4K映像スクリーンを設置。そこに映し出されるVR映像では、文化財の質感や肉眼では見ることのできない細やかな造形までをじっくりと堪能することができるという同館内でも人気のスポットだ。同館の所蔵品を中心に、あざやかな文化財の姿や、かつての姿の再現した建築物を実物に触れられるかのように楽しめ、新しい鑑賞方法を提案している。
またVR映像は、保存上の観点から年間の公開日数が制限されている貴重な文化財を鑑賞する手法としても注目されている。現存しないものや、保存の観点から近づいて鑑賞できないもの、内部の構造など「見ることのできないもの」を可視化。技術的な精確さだけでなく、博物館の研究員をはじめとした専門家や有識者による監修を経て、学術的にも確かな価値のあるバーチャルリアリティ作品を生み出している。
シアター内では、文化財の世界を旅する案内役のナビゲータがVR映像を操作しながら文化財について解説。ナビゲータとのコミュニケーションを通して、より文化財への理解を深めることができる。
そのミュージアムシアターで、過去に人気が高く、アンケートなどで再演の希望を多く寄せられている4作品について、再上演のリクエスト投票がスタートする。投票期間は2018年6月15日から7月22日で、投票結果は8月末に公表。選ばれた作品は2018年10月3日から公開予定だ。来場者の声を採り入れ、上演作品を決めるのは本シアター初の試みとなる。
対象となる作品は、「洛中洛外にぎわい探訪 舟木本屏風を歩く―京のごちそう―」(2013)「東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ」(2015)、「日本工芸の名宝 色絵月梅図茶壺・八橋蒔絵螺鈿硯箱」(2016)、「江戸城の天守」(2017)。
コンピュータでリアルタイムに生成される高精細の三次元空間の中を移動しながら、あたかもその場にいるかのような感覚を体験できるミュージアムシアター。お気に入りの作品や見逃した作品など、一作品に投票してシアターに足を運びたい。なお、投票は下記リンクから行うことができる。