鴻池朋子から超写実絵画まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会から6月29日に終了する展覧会まで、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。予約方法や注意事項については、各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

東京ステーションギャラリー「神田日勝 大地への筆触」展示風景より (C) 若林勇人

コレクションと鴻池朋子作品の共演。「鴻池朋子 ちゅうがえり」(アーティゾン美術館

鴻池朋子 皮トンビ(「瀬戸内国際芸術祭2019」での展示風景)

 4月1日から展示替え休館が続いていたアーティゾン美術館が、6月23日に再開。「鴻池朋子 ちゅうがえり」ほか3展が、会期を延長して10月25日まで開催される。

 本展は「ジャム・セッション」と題した、石橋財団コレクションと現代美術家の共演シリーズの第1回。アーティストと学芸員が協働し、コレクションの特定の作品からインスパイアされた新作などで展覧会を構成する。

 作品は円形状の新作インスタレーションを中心に展開され、瀬戸内国際芸術祭2019で発表した《皮トンビ》のそばには、ギュスターヴ・クールベ《雪の中を駆ける鹿》や、アルフレッド・シスレー《森へ行く女たち》などが配置される。鴻池が「みる誕生」と名づける、未知なる鑑賞の驚きや豊かさを感じることができるだろう。

 なお、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館の展示帰国展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」、新収蔵作品の特別展示「パウル・クレー」、コレクション展示「印象派の女性画家たち」も同時開催。こちらもあわせてチェックしたい。

会期:2020年6月23日~10月25日
会場:アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日
料金:一般ウェブ予約チケット 1100円 / 学生無料(高校生以上は要ウェブ予約) ※日時指定予約制
 

描くことは生きること。「神田日勝 大地への筆触」(東京ステーションギャラリー

展示風景より (C) 若林勇人

 NHK連続テレビ小説『なつぞら』の登場人物、山田天陽のモチーフともなった画家・神田日勝。東京では40年ぶりとなる本格的な回顧展「神田日勝 大地への筆触」が、東京ステーションギャラリーで6月28日に終了する。

 日勝は1937年生まれ。戦火を逃れて一家で北海道に入植し、農業に従事しながら絵を描き続けた。農業と画業の両立に常に葛藤を抱えつつ、次第にその評価を確立。しかし病に冒され、《馬(絶筆・未完)》(1970)を遺して32歳という若さでこの世を去った。

 まさに、生きることと描くことがひとつだった日勝。本展では、農耕馬や馬を緻密に描いた代表作から、カラフルな色彩と明瞭な形態が躍動する大画面の作品まで、活動の全体像を提示。最新の研究を元に同時代作家の作品もあわせて展示し、日勝芸術の時代性と位置づけを探る。

会期:2020年6月2日~6月28日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話:03-3212-2485
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1100円 / 大学生・高校 900円 / 中学生以下無料 ※日時指定による予約制
 

選りすぐりの写実絵画が一堂に。「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」(Bunkamura ザ・ミュージアム

石黒賢一郎 存在の在処 2001-11 

 会期の途中で中止となっていた、Bunkamura ザ・ミュージアムの「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」。6月11日に再開した本展が29日に閉幕する。

 細密に長い時間をかけて描かれるため、1年に数点しか完成しない写実絵画。2010年に開館し、約480点におよぶコレクションで「写実絵画の殿堂」とも呼ばれるのが、千葉市のホキ美術館だ(昨年の豪雨による水害で被災し、8月1日にリニューアルオープンを予定)。

 本展ではそんな同館から、選りすぐりの作品が一堂に集結。生島浩《5:55》(2007-10)や石黒賢一郎《存在の在処》(2001-11)など、同館開館当時から熱い人気を誇る作品群も展示される。バラエティに富む作品で、思わず息をのむ「超」写実絵画を堪能したい。

会期:2020年6月11日~6月29日
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
電話:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(最終入館17:30)
料金:一般 1600円 / 大学・高校生 900円 / 小中学生 600円

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