崔在銀による土のインスタレーションとともに営業再開。「SHISEIDO THE STORE」で感じる自然の生命

東京・銀座の中央通りに面する「SHISEIDO THE STORE」。アーティストの作品を展示する1階ウィンドウギャラリーで、崔在銀による土のインスタレーションが展示されている(〜7月14日)。

花椿通から見た展示風景 Photo by Nacasa & Partners

 資生堂の総合美容施設「SHISEIDO THE STORE」では、今年1月より現代美術家とともに1階ウィンドウギャラリーの制作を行ってきた。新型コロナウイルスによる自粛期間が明けた現在は、崔在銀(チェ・ジェウン)による「土」をテーマにしたインスタレーションを展示している(〜7月14日)。

 崔は1953年ソウル生まれ。76年より東京に在住し、草月流で華道を学んだ。80年代からは一貫して、生命や時間をテーマとした作品を手がける。これまでソウルや東京、プラハなどで個展を開催し、注目を集めてきた崔。現在は、韓国のDMZ(非武装地帯)において「Dreaming of Earth(夢の庭園)」プロジェクトが進行中だ。

 91年にサンパウロ・ビエンナーレ、95年には日本代表のひとりとして第46回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展に参加したほか、2016年には第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展にも出品するなど、国際展でも活躍を見せている。

刻々と変化する粘土の壁 Photo by Nacasa & Partners
崔による詩と瓶 Photo by Nacasa & Partners
発芽した金時豆 Photo by Nacasa & Partners

  現在、SHISEIDO THE STORE WINDOW GALLERYで見ることができるのは、崔がすべての生命の母と考える土をウィンドウの壁や床一面に塗り込んだインスタレーション作品。塗り込まれた土が乾いていく過程で生じる自然の亀裂を背景に、生命の象徴そのものである小瓶に入れた種が芽吹くのを目撃することができる。

 床には古紙が置かれ、そこには崔が書いた詩が鉛筆でドローイングされている。19世紀後半から20世紀にかけてヨーロッパで生産されたというその紙は、何層にも堆積した時間と露光による繊細な色調を帯びる。

 かつて樹木であった紙や、命の源を象徴する種、それらを育む水や光や空気を用いた本作。豊穣な土から生まれる自然の命の時間が、人間の時間と対比されながらも、永遠とも思える長い周期の連続性から成っていることに改めて気付かされるだろう。​

花椿通から見た展示風景 Photo by Nacasa & Partners

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