東京・銀座の中央通りに面する「SHISEIDO THE STORE」。ここで、日本を代表する写真家のひとりである東松照明(1930〜2012)の展示「さくら 桜 サクラ」が始まった。
「SHISEIDO THE STORE」では、今年から1階のウィンドウギャラリーを現代美術家とともに制作するプロジェクトをスタート。本展は、川俣正展に次ぐ2番目の展示となる。
東松照明は、戦後の日本を代表する写真家のひとり。愛知大学経済学部を卒業後上京し、岩波写真文庫でカメラスタッフを経て、フリーランスとなった。1950年代から数々の作品を発表。メトロポリタン美術館やサンフランシスコ近代美術館、シカゴ美術館、東京都写真美術館、長崎県美術館など、国内外の美術館で個展を行い、今年6月にはパリのヨーロッパ写真美術館で森山大道との2人展が開催される予定だ。
今回の展示では、中央通りのウィンドウギャラリーに、新宿御苑の八重桜と青森・弘前城のお堀に散り重なる無数の花びらのふたつのイメージが、鏡のボックスのなかで万華鏡のように展開するインスタレーションを展開。また、花椿通りのウィンドウには、東松が全国で撮影した桜の写真から約40点が選ばれ、上映されている。
東松は桜について次のような言葉を残している。「蘭や椿なら一輪でも鑑賞に耐える。が、桜の場合、そうはいかない。小さな花が寄り集まって咲き競う、そのたたずまいが美しいのである。私のいう桜の美とは、散りぎわのいさぎよさにあるのではなくて、花一輪では概して美しくない集合の美についてである」。
東松が残した桜で春を堪能したい。