文化浄化を嘆く「数の暴力装置」。馬嘉豪(マ・ジャホウ)の個展がTAV GALLERYで開催中

中国出身の若手アーティスト、馬嘉豪(マ・ジャホウ)による個展「燎(リャオ)」が、東京・阿佐ヶ谷のTAV GALLERYで開催中だ。本展では、祖国への違和感や国家間のあり方への疑問を投げかける大作を発表。会期は4月5日まで。

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 馬嘉豪(マ・ジャホウ)は1996年生まれ、中国・西安出身のアーティスト。18歳にいたるまで反日教育を受け、祖国への違和感や国家間のあり方に対する疑問から2015年に来日。16年に多摩美術大学入学後、17年に第4回CAF賞入選、19年には第22回岡本太郎現代芸術賞入選を果たすなど、飛躍的に活動を続けている。

 18年に開催した初個展「霾(バイ)PM2.5」では、会場でPM2.5の香りや煙を再現し話題を呼んだ馬嘉豪。それに続く2度目の個展「燎(リャオ)」が、東京・阿佐ヶ谷のTAV GALLERYで開催されている。会期は4月5日まで。

馬嘉豪 危墙之下(ウェイチャンゼィシャ) 2019

 展覧会タイトルの「燎」は、野原についた火が一瞬で燃え広がることを意味する四字熟語「燎原之火」から取られたもの。各地で相次ぐ文化浄化を嘆く意を重ねながら、政治性が喚起されうる作品やポピュリズム到来以降の表現の自由、そして国家間のあり方を問いかけている。

 馬嘉豪は災害で報道される死者の情報に「死亡の暴力」を感じたといい、1年をかけてロダンの《地獄の門》をかたどった2メートルを超える作品を制作。本展ではそのほかにもインドボダイジュやノートルダム大聖堂をモチーフに、数千個におよぶ既成の人型のフィギアを固めた作品など、中国本土では展示することのできないものを含めた作品群を発表する。

 兵馬俑からパンデミックまでを背負い、大量の人口のもとに存在する問題や矛盾を問う馬嘉豪。その「数の暴力装置」と題した次なる展開に注目したい。

馬嘉豪 The last straw(ザ ラスト ストロー) 2019

編集部

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