兵馬俑からPM2.5までを背負って。中国出身の美術家・馬嘉豪(マ・ジャホウ)が個展で見せる新たなアプローチとは

中国出身の美術家・馬嘉豪(マ・ジャホウ)の個展「霾(バイ)PM2.5」が、東京・阿佐ヶ谷のTAV GALLERYで開催される。本展では、人間をかたどったレディメイドのオブジェなどを用いて、民間と国家の境界を描き出すことを試みた新作を中心に発表。それらを、調香師・喜覚愛(AI KIKAKU)と協働し、PM2.5を煙で再現した作品空間の中で見ることができる。会期は2018年11月2日〜11月16日。

本展メインビジュアル

 馬嘉豪(マ・ジャホウ)は、1996年中国・西安生まれの美術家。18歳に至るまで反日教育を受けたという馬嘉豪は、祖国の違和感や国家間のあり方に疑問を抱き、2015年に来日して以来、在留。16年より多摩美術大学美術学部絵画学科で油画を専攻しており、17年には「第4回CAF賞」入選を果たした。

 古代中国において、死者を埋葬する際に副葬された俑のうち、兵士・馬をかたどったものを指す「兵馬俑(へいばよう)」や、工場からの粉瘤や排気ガスなどの様々な微小粒子状物質が複合的に重なった「PM2.5」などの社会問題を、自身の制作のテーマとしてきた馬嘉豪。

馬嘉豪 「霾(バイ)PM2.5」より

 今回、東京・阿佐ヶ谷で開催される個展「霾(バイ)PM2.5」では、人間をかたどったレディメイドのオブジェなどを用いて、民間と国家の境界を描き出すことを試みた新作を中心に発表。それらは、調香師・喜覚愛(AI KIKAKU)との合同制作により、煙でPM2.5を再現した作品空間の中で見ることができる。会場では、煙が作品鑑賞を妨げると同時に、香りが作品のコンセプトを引き立たせるといった新たな鑑賞体験を得るだろう。

 馬嘉豪は本展のステートメントのなかで、次のように語っている。「私が表現したいものは、この膨大な人口のもとに存在する問題と矛盾とそれらから産まれる戦争状態だと思う。その大量な数によって構成された日常風景のなかに非日常的を見出したい」。

編集部

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