2020.2.8

北斎と師弟たちの共演から、風間サチコまで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会と閉幕間近の展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。

卍楼北鵞 椿説弓張月巻中略図 山雄(狼ノ名也)主のために蟒蛇を噛て山中に躯を止む すみだ北斎美術館蔵 ※前期展示のみ
前へ
次へ

北斎と弟子20人の作品が共演。「北斎師弟対決!」(すみだ北斎美術館)

展示風景より。葛飾応為《『女重宝記』四 女ぼう香聞く処》(1847)

 今年、生誕260年を迎える江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)には、孫弟子を含め200人もの弟子たちが存在した。東京・両国のすみだ北斎美術館で、所蔵品から選りすぐられた、北斎と20人の弟子たちの作品が展示される。

 展示のテーマは「人物」「風景」「動物」「エトセトラ」の4章に分けられており、画題ごとに北斎と弟子の作品を比較することで、それぞれの画風の特徴や影響関係に迫っている。展示されるのは、北斎の娘・応為をはじめ、卍楼北鵞、春婦斎北妙、魚屋北渓、葛飾為斎といった絵師たちの作品。たんなる絵の比較だけではなく、北斎作品伝承の研究成果として、多くの発見がある展覧会となっている。

会期:[前期]2020年2月4日~3月8日、[後期]2020年3月10日~4月5日
会場:すみだ北斎美術館
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
電話番号:03-6658-8936
開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(2月24日は開館)、2月25日
料金:一般 1000円 / 65歳以上・大学・高校生 700円 / 中学生 300円 / 小学生以下無料

10年間の活動を振り返る作品集とともに新作を見る。鈴木ヒラク「Before the Cypher」”SILVER MARKER―Drawing as Excavating” 出版記念展(OIL by 美術手帖)

鈴木ヒラク GENZO #113 2019 (c)Hiraku Suzuki

 アーティスト・鈴木ヒラクの作品集『SILVER MARKER―Drawing as Excavating』(HeHe)の出版記念展が「OIL by 美術手帖」ギャラリーで開催される。

 作品集『SILVER MARKER―Drawing as Excavating』は、鈴木が2010〜19年までの10年間のうちに制作した200点以上の作品図版を収録。ドローイングを発掘行為ととらえ、制作を続けてきた鈴木の軌跡を追うことができる。

 本書の刊行にあわせ、本展で鈴木は新作の平面作品約7点を発表。また、壁面を大きく使い、石を素材に用いた壁画作品も制作する。これまでの鈴木のドローイングを振り返りながら、新たな発掘の現場を感じることができる展覧会だ。

会期:2020年2月8日~26日
会場:OIL by 美術手帖
住所:渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2階
電話番号:03-6868-3064
開館時間:10:00~21:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:無料

セメントから見えてくる社会の矛盾。風間サチコ展「セメントセメタリー」(無人島プロダクション)

風間サチコ 新秩序(from Kurobe gold series) 2019 撮影=柳原良平 Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

 近現代の社会的事象への関心を起点に、黒一色の木版画を制作し続けてきた風間サチコ。19年には世界のコンクリート開発史を軸に、黒部市美術館で個展「コンクリート組曲」を開催した。

 本展は、同展にて発表した「クロベゴルト」シリーズに、最新作を加えた構成となる。展示される最新作《セメントセメタリー》では、フロッタージュ技法で石灰鉱山が「墓標」と化してゆくプロセスを作品化。また《セメント・モリ》では、石灰を切り出す掘削作業員が、自然を切り崩す墓掘り人でもあるという皮肉を、木版画を使ったインスタレーションで表現する。近年、目覚ましい活躍を見せる風間の、現在地を知ることができる展覧会だ。

会期:2020年2月8日~3月8日
会場:無人島プロダクション
住所:東京都墨田区江東橋5-10-5
電話番号:03-6458-8225
開館時間:12:00~19:00(日〜17:00
休館日:月、祝
料金:無料