EXHIBITIONS

風間サチコ展「セメントセメタリー」

風間サチコ 新秩序(from Kurobe gold series) 2019 撮影=柳原良平 Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

風間サチコ ヴァルハラ(from Kurobe gold series) 2019 撮影=柳原良平 Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

風間サチコ Fasolt & Fafner(from Kurobe gold series) 2019 撮影=柳原良平 Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

 無人島プロダクションは2020年第1弾の展覧会として、風間サチコの個展「セメントセメタリー」を開催。本展は、19年秋の黒部市美術館での個展「コンクリート組曲」で発表した「クロベゴルト」シリーズに最新作を加えた構成となる。

 風間は1972年東京都生まれ、96年武蔵野美術学園版画研究科修了。徹底したリサーチに基づき、近現代の社会的事象への関心を起点とした黒一色の木版画を制作。過去の出来事を糸口に現代の問題と未来を提示する作品は、批判的な視点とコミカルな表現を併せ持っている。

「クロベゴルト」は、コンクリートを利用し、土木技術の開発力をもって自然を人間のためにデザインするという、新たな秩序をテーマとしたシリーズ。風間は、新しい秩序の象徴と日本の近代化の歴史の縮図を、人間が大自然のなかにつくり上げた「ダム」に見出し、神々になぞらえて人間のエゴや支配欲を描いたワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』4部作の序夜にあたる「ラインの黄金(ラインゴルト)」を重ねてシリーズ作品とした。

 本展では黒部市美術館での「コンクリート組曲」の流れを汲みつつ、コンクリートの原料のセメント(石灰石などを焼成・粉砕したもの)と、セメントの材料である石灰岩を素材に、これらを取り巻く社会の矛盾と課題に焦点を当てる。

 最新作のひとつ《セメントセメタリー》では、フロッタージュ技法で石灰鉱山が「墓標」と化してゆくプロセスを作品化。もう1点の《セメント・モリ》では、石灰を切り出す生産者側の掘削作業員が、いっぽうでは自然を切り崩す墓掘り人でもある皮肉を、木版画を使ったインスタレーションで表現する。