「アートコレクターの住まい」をコンセプトに掲げ、バリー・マッギーやベルナール・フリズ、五木田智央、大竹伸朗、荒木経惟、井田幸昌など、人気アーティストの作品を展示している京都の「node hotel(ノードホテル)」。現在、同ホテルでは、写真家ヨーガン・アクセルバルの個展「And I reminisce」が開催されている。会期は2月6日まで。
アクセルバルは1972年スウェーデン生まれ。青年期にニューヨークに移り住み、15年間を過ごし、2011年より東京に生活と活動の拠点を置いている。15年には、7年にわたり東京で撮影を行った初の写真シリーズ「I was looking for Park Hyatt Tokyo」が、第18回文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品に選出。その作品は、国立新美術館で展示され、話題となった。
17年には、写真集『Go to become なりに行く』を出版。同書は、アクセルバルの写真と、現代日本においてもっとも著名な詩人、エッセイスト、作家のひとりである高橋睦郎によって書き下ろされた詩が、豊かなシークエンスを織り成している。
主に剥離式のピールアパートタイプと呼ばれるポラロイドを用いて、ソフトフォーカスでの撮影を行うアクセルバル。フィルムが化学物質と反応する時間、その瞬間における温度や湿度、さらにポラロイドを剥がすときに加えられる張力と、その速度に至るすべての要素が、最終的に現れる産物に変化を与えていくのだという。そんなアクセルバルの写真には、ゆったりとした時間の流れや濃密で清らかな孤独が宿される。
「And I reminisce(そして僕は追憶する)」と題された本展は、アクセルバルが時を取り戻そうとする欲望に駆られて制作した作品で構成。同シリーズは、アクセルバルがニューヨークで過ごした青年期に「少年と花の幻影、追憶する道程の先に見えたもの」を発見したことが出発点となったという。本展では、いまもなお続くそれらの発見の「視覚的証拠」としての写真作品、また言葉にして意味付けし、映し出されたものとしてアクセルバルが書き下ろした短編の物語がともに展示されている。