荒木悠は1985年生まれ、2010年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修士課程修了。世界各地での滞在経験から、食文化や信仰など異文化間の差異に着目した映像作品を手がけている。主な個展に「LOST HIGHWAY (SWEDED)」(ボルボ スタジオ青山、2018)、「荒木悠展 : LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ」(資生堂ギャラリー、2019)など。
近年は展覧会にとどまらず映画祭でも作品が上映されており、帯広のばんえい競馬場を舞台にした短編《マウンテン・プレイン・マウンテン》が第47回ロッテルダム国際映画祭でタイガーアワードを受賞。また、同映画祭に正式出品された短編《利未記異聞》は、第35回カッセル・ドキュメンタリー・フィルム・アンド・ビデオ・フェスティバルにて審査員特別賞を受賞した。
そんな荒木の個展「RUSH HOUR」が、北海道・札幌のCAI02で開催されている(〜11月9日)。本展では《マウンテン・プレイン・マウンテン》に続いて17年から白老、網走、道東と冬の北海道を幾度もめぐり、構想から2年を経て完成した新作映像を発表する。
新作のテーマとなるのは、火をめぐる人間の営み。荒木は人類が火をコントロールし積み重ねてきた歴史・文明を照らし出すとともに、社会的な出来事による精神的な揺らぎを炎の揺らめきに置き換えるように制作を行ったという。本展では、釧路の風物を舞台とした火のカムイを想起させる北海道の冬のひと時を見ることができるだろう。