「磯崎新の謎」展が大分市美術館で開催中。「いき」と「しま」を軸にその思考を紐解く

思想、美術、デザインなど多岐にわたる分野で活躍する建築家・磯崎新。建築だけでなく、キュレーションやコラボレーション・ワークなど磯崎にとって「第三空間」と言える領域に光をあて、その思考を紐解く展覧会「磯崎新の謎」展が、大分市美術館で開催されている。会期は11月24日まで。

磯崎新 エンジェル・ケージ 1976/2019 from MAN TransFORMS, ニューヨーク, 1976-77 写真=久保貴史 提供=大分市美術館

 磯崎新は60年におよぶキャリアのなかで、何百もの建築物やプロポーザル、そして多数の著作を発表してきた建築家。今年3月には「建築界のノーベル賞」として知られるプリツカー賞を受賞し、現在は設計を手がけたハラ ミュージアム アークで「縁起」展も開催中だ。

 建築のみならず思想や美術、デザインなど多岐にわたる分野で活躍してきた磯崎。しかしキュレーションや芸術的コラボレーション、インスタレーションなど、その実験的な作品はよく知られているわけではない。

「いき」の展示風景より、手間から磯崎新《みちゆき》《はし》(1978/2019)、《グラビティ・ルーム》(1976/2019) 写真=久保貴史 提供=大分市美術館

 都市計画や建築に加えてこうした「第三空間」とも言える部分に光を当て、その思考を紐解く展覧会「磯崎新の謎」が大分市美術館で開催されている。会期は11月24日まで。

 本展はキュレーターにアリック・チャン、印牧岳彦、松井茂、藤村龍至を迎え、「いき(息)」と「しま(島)」のふたつのテーマを軸に構成。「いき」では、70〜80年代にかけて発表されたインスタレーション作品やキュレーション活動、アーティストとのコラボレーション作品を中心に、知られざる磯崎の創造的実践を紹介する。

「しま」の展示風景より、手前が《孵化過程》(1962/2011) 写真=久保貴史 提供=大分市美術館

 いっぽうの「しま」では、「孵化過程」「大阪万博 お祭り広場」「東京都新都庁計画」「海市計画」など、活動初期の60年代から現在にいたるまでの都市計画を紹介。それぞれに共通する磯崎の理論を追う。

 アート、デザイン、音楽、演劇など他の領域とのはざまで活動してきた磯崎。本展では、あくなき挑戦を続けるその姿勢を映し出すことを試みる。

編集部

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