日本人では8人目。磯崎新が2019年のプリツカー賞を受賞

「建築のノーベル賞」とも言われ、これまでザハ・ハディッド、レム・コールハース、フランク・ゲーリーらが受賞してきたプリツカー賞。日本人建築家・磯崎新が、2019年のプリツカー賞を受賞したことが発表された。

磯崎新 Courtesy of the Pritzker Architecture Prize

 建築家、都市計画者、そして理論家である磯崎新が、「建築のノーベル賞」とも言われる2019年のプリツカー賞を受賞したことが発表された。

 1931年に大分県で生まれた磯崎は、54年に東京大学工学部建築学科を卒業し、丹下健三の指導のもとで建築家としてのキャリアをスタートさせた。63年に、建築事務所「Arata Isozaki & Associates」を設立し、約60年にわたってアジアやヨーロッパ、北アメリカ、中東、オーストラリアの至るところで、100以上の作品を設計してきた。

 その重要な作品には、北九州市立美術館(1972〜74、福岡)、水戸芸術館(1986〜90、茨城)、アリアンツタワー(2003〜14、ミラノ)、カタール国立コンベンションセンター(2004〜11、ドーハ)、上海シンフォニーホール(2008〜14、上海)などがある。

水戸芸術館 Photo courtesy of Yasuhiro Ishimoto

 戦後復興期に建築における初期の成功を収めた磯崎は、「自分の目で世界を見たかったので、30歳になるまでに少なくとも10回は世界中を旅しました。私は、様々な場所で人々の生活を感じたいと思い、日本国内だけでなく、イスラム世界や中国の深い山々の村、東南アジア、そして米国の都市圏を訪れました。それを通して『建築とは何か』と質問し続けてきました」と述べている。

 今回のプリツカー賞の審査員らは、磯崎の受賞について次のようにコメントしている。「磯崎は、建築の歴史と理論への深遠な知識を持つと同時に前衛を受け入れながら、決して現状維持にとどまることはない。そして従来的な様式に抗い、常に進化し続ける彼の建築スタイルと新鮮なアプローチは今日の建築に影響を与えてきた」。

 なお磯崎は、丹下健三や槇文彦、安藤忠雄、妹島和世+西沢立衛、伊東豊雄、坂茂に続き、8人目の日本人受賞者となる。

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