埼玉県所沢市を舞台に、2008年から行われてきた「引込線」。一般的な美術展と異なり統一的なテーマやディレクションはなく、展覧会と書籍刊行を軸に、美術家と批評家の協働による表現の場として開かれてきた。
7回目となる今年は、名称を「引込線/放射線」に変えて開催。当初から掲げる「自主的な協働」「統一テーマを持たないこと」「緩やかな集い」を受け継ぎつつ、社会/造形というふたつの課題を考えることでさらなる進化と拡張を目指す。
実行委員長は大久保あり、副委員長はうらあやか。そのほかの参加者は阿部真弓、粟田大輔、うしお、大塚聡、岡本大河、荻野僚介、奥誠之、勝俣涼、川村元紀、小林耕二郎、小山友也、阪中隆文、関真奈美、戸田祥子、高嶋晋一、東間嶺、寺内曜子、冨井大裕、中川周、中島水緒、二藤建人、野本直輝、橋場佑太郎、橋本聡、藤井匡、前野智彦、眞島竜男、松井勝正、水谷一、宮川知宙、村田峰紀、森大志郎、森田浩彰。
これまでの旧所沢市立第2学校給食センターを離れ、今回新たに会場となるのは第19北斗ビルと旧市立所沢幼稚園。なかでも第19北斗ビルは、もともと複数の企業や店舗が入居し、改装を重ねた結果複雑な構造を持つに至った商業ビル。ここでは社会の下部構造や周辺の地理的・政治的な文脈に呼応した作品群を見ることができるだろう。
展覧会の2会場だけでなく、書籍、サテライト、ウェブサイトという5つの場を舞台に行われる「引込線/放射線」。集いの単位は場ごとに大きさやかたちを変え、それぞれの役割を交換しながら2020年3月末までプロジェクトとして継続される。会期中に多数開催されるイベントやサテライト、書籍などの情報は随時公式ウェブサイトをチェックしてほしい。