1950年代後半から現在にわたって、写真界の第一線を走り続ける篠山紀信。流行語にもなった「激写」や、複数のカメラを結合し一斉にシャッターを切る「シノラマ」など、新しい表現方法と新技術を用いながら、三島由紀夫、山口百恵、宮沢りえ、ジョン・レノンとオノ・ヨーコなど、その時代を代表する人物をとらえてきた。
2012年より、熊本市現代美術館を皮切りに始まった「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」は全国32会場を巡回中、現時点で約99万人の動員を記録している。こうして7年間篠山とともに新陳代謝を繰り返してきた本展も、東京ドームシティー内のGallery AaMo(ギャラリー アーモ)での開催をもって最後となる。
展覧会シリーズの集大成ともいえる本展では、長嶋茂雄、樹木希林、広瀬すずといった昭和・平成・令和のスターたちの写真を大きく引き伸ばして展示。「GOD」(鬼籍に入られた人々)、「STAR」(すべての人々に知られる有名人)、「SPECTACLE」(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)、「BODY」(裸の肉体―美とエロスと闘い)、「ACCIDENTS」(2011年3月11日―東日本大震災で被災された人々の肖像)の5章編成で紹介される。
なかには幅8メートルを越える巨大作品や、平成から令和に切り替わってから発表された作品を含む初出品の写真もあり、篠山自らが厳選した作品をダイナミックな展示空間で見ることができる。