1889年に設立され、アジアの美術にフォーカスしたパリ・ギメ東洋美術館が、日本の現代美術家Mr.によるフランスでの初美術館個展「A Call To Action」を開催する。
アメリカの音楽プロデューサー、歌手、ファッションデザイナーのファレル・ウィリアムスがキュレーションした本展は、同館のドームの下にあるロタンダで展開。Mr.の絵画や彫刻を展示するほか、ふたりの5年にわたるコラボレーションによって生まれた、会場にあわせてつくられたインスタレーションを見ることもできる。ファレル・ウィリアムスは、「この作品は、より良くて明るい未来のために、すぐに何かをしなければならないことを指導者たちに啓発するものです」とコメントしている。
Mr.は1969年生まれ。96年に創形美術学校を卒業し、現在は埼玉県志木市を拠点として活動。萌え文化を反映した美少女をモチーフにアニメ風あるいはゲームキャラクター風に描くことで知られており、その作品は世界中で高く評価されている。これまでシカゴ、パリ、東京、ニューヨーク、香港など世界各地で個展を行ってきた。また、2014年にはファレル・ウィリアムスの楽曲「It Girl」のPVを制作したことでも知られる。
今日の社会的や政治的、環境的および技術的問題から生まれた緊張感を出発点とした本展は、若者の楽観性と可能性を探るものだという。ハイライトのひとつは、子供たちの軍隊をモチーフにした大規模な壁画。武器を持っている子供たちが未来を担う準備をする様子が描かれた作品は、今日の問題に対する解決策を見出すときに、前向きで平和的な姿勢を求めるもの。
Mr.は、「私たちがいる不確実性の緊張感と危機のなかで、子供たちにある希望を信じ、そして彼らの楽観的な考え方や精神にインスピレーションを得ることが重要です。子供たちは力を持っています。アートを用いて、私たちは対話を始めるでしょう」と語っている。